『4次元思想とフラットランド』あとがき

 

 書籍『4次元思想とフラットランド』の「あとがき」を、ここに記すことにする。
 このあとがきは、本書の内容を読んだ後に読んでも良いけど、読む前に読んでも良い。
 「本書内に書かないのかよ」というツッコミがある所かもしれないが、本書は、あれであのまま終わらしたかったし、この内容も、本書内に入れるのが妥当か微妙な所だったので、ここに書くことにする。
 
 この書籍を書こうと思った発端は、筆者Raimu(来夢)が、普通にプログラマーとして働く日々を送っている中、「4次元の本を書くべきだ。」というメッセージを受信する・・・・・・ような、しなかったような・・・。それは、謎の電波の受信なのか、それともただの思いつきなのか、なんなのかよく分からないにせよ、そんな発想から「初めての電子書籍(のテーマ)は4次元にしよう。」という着想を胸に秘めることになる。そこで、E・アボットの著作「フラットランド多次元の冒険」が前から気になっていたので購入することにした。そして、本の前半のテーマを「フラットランド」にして、なるべく一般人でも楽しく読めるような内容にし、後半を「ヌーソロジー」にすれば良いんじゃないか?ということで、本の構想を練り始める。
 晴れて、かねてからの念願だった「会社の退職」を達成し、早速、書籍執筆に着手していくことになった。(ちなみに、新卒採用からおよそ6年半勤めていた会社である。生まれて初めての無職である。うぇーい。) 書籍は、やはり機能性を重視してKindleで出そうということは前々から決めていた。書くべき項目をリスト化してスケジュールとしてエクセルに書き出して管理して、一日に何字ぐらいなら書けるか把握して作業見積もりできるようにしたり、Incscapeを駆使して図をちまちまと作ったり、Kindleの電子書籍は「Romancer」というWebサービスを使えばKindle用フォーマットに変換できるのか・・・などと調べたりすることになった。
 本の全体の内容は大体、書き上がってきた所で、次の作業は「校閲」と「校正」の作業である。初めてだから誰かに有料で頼もうか・・・とも思ったけれど、それも大変だから結局止めて、全部自分でやることにした。校正作業は、テキストを読み上げソフトとして、VOICEROIDの結月ゆかり嬢が使えるぞ!ということで導入したり、結城浩さんの「数学文章作法 推敲編」を読んだり・・・やっぱり、書籍用の文章を書くってここまで考えないといけないよなぁ・・・とか思ったり。そこから「分かりやすい文章とは何か?」を、自問自答しつつ、文章を修正していったり・・・
 そうやって、『4次元思想とフラットランド』の章が仕上がったあたりでは、「これは一般人にもイケるんじゃないか?」と、なかなか分かりやすく書いたし、幅広い人にオススメできるものかもしれないとか思い始めたものの、『4次元思想とヌーソロジー』のあたりで、「あっ、やっぱダメだ。」という感じになった。この本はどうしようもないぐらいにオカルト本だということで、やっぱりそっち路線で行くしかないかな・・・という気がしてきた。というか、書籍執筆の心得としては、通説では「読者が疑問をもたないように書く。」というのが基本であるけれど、これ無理じゃね?とか思い始めてきて、しかし、えーい、とりあえず書けるだけ書いてみるか!ということで、とりあえず、現時点でのベストということで、こういうのが出来上がることになった。(アインシュタインの言っていることを真面目に否定するというのはなかなかのプレッシャーをともなう大変さがあった・・・コウセンさんの苦労が分かったような気がした。) しかし、ヌーソロジーの入門部分としてかなり重要なことをしっかりとまとめた気がするので、ヌーソロジー探求者の人には、かなり読んで欲しい内容となっている。また、仏教や精神分析との接合という意味でも、結構気に入った内容になった。
 それから、自分の書いた『4次元思想・エトセトラ』あたりを読んでいて思ったのは、「これは売れる本ではないな。」ということである。「売れる本」というのは、読者に疑問を持つような所はなるべく省いた、スッキリした内容の方が良いみたいである。もしかしたら、内容を上手いこと削って、分かりやすそうな所のみに絞って綺麗な感じに仕上げれば、もう少しマシな本が出来たのかもしれないけれど、やはり、「書けるだけ書いておこう」ということで、色々と詰め込むことにした。しかし、実際の出版とかの場合では、「売れる本を書く」ということで、そうやって削られていく内容というのもあるんだろうな・・・と考えると、色々とあれこれ詰め込むことが出来るというのは、個人出版が簡単にできる電子書籍の醍醐味なのかもしれない。(特に、グノーシスやオカルト系で分かり難い話は、そういう事情で削られやすいのだと思う。あるいは、出たとしても、学術寄りか、宗教寄りの内容になってしまうことが多いのかもしれない。)
 なんやかんやと色々な内容を書いたものの、章ごとの役割分担、というのは結構ハッキリしているし、これはこれでアリなような気がしている。書きたいことは十分に書くことができたし、おおよそ、当初の目論見通りのものは出来上がったので、大体は満足のいくものが出来たと思う。