・惑星においては、「火星」がそこに割り当てられている。「火星」は、「闘争」や「競争」など、とにかく、「闘い」の要素を司っている星と言われている。
・カバラにおいては、「ゲブラー」がそこに割り当てられている。ゲブラーは、「峻厳」と呼ばれていて、厳しく、武力的なものを持った存在にあたる。
また、「破壊者」としての役割を持つとも言われていて、それは、ありとあらゆるものに牙を向く。時には、危ぶまれ、時には必要となるような存在である。
・カバラにおけるセフィラーには、それぞれ色が割り当てられているが、その「色」をはっきりと発しているように見るのは、少し難しい。
しかし、この『赤の勢力』は、割りとはっきりと「赤」を発している存在である。「赤」は、「火星」の守護色でもあり、それは闘いを引き起こす、情熱的でエネルギッシュな赤である。
・『中心の存在』と対立する存在にあたる。
・『中心の存在』にとって、ときおり「悪」に見られることもある存在である。
・『中心の存在』『赤の勢力』『青の勢力』は、重要な三角形を形成している存在である。その中で、『青の勢力』『中心の存在』は、二つともどちらかというと、柔和で、優し気な性格を持っているが、それに対し、『赤の勢力』は、それとバランスを取るかのように、峻厳に満ちた、厳しい性格を持っている。「バランスを取る」ためにそのような性格を持つものが存在するというのが、正しい構造である。
・それは、優柔不断なものを断つ力を持っており、『中心の存在』『青の勢力』の持っていない、「武力を以て敵を打ちのめす力」を持っている。
・「闘い」や「争い」とよく関係がある。それは火星の力でもある。『赤の勢力』を「悪」と見るか、「自己の成長にとって必要なもの」と見るかは、それらをどう見るかによって変わる。
・占星術において、「火星」は時に不吉な星とみなされることが多いが、それを本当に不吉なものと捉えるかどうかは、その人次第である。
・『赤の勢力』は、「破壊者」としての役割を持つわけだが、それは、『青の勢力』『中心の存在』に欠けている、「破壊」の特性を補うために、そうした役割を担っている。
・人間の作った組織は、『赤の勢力』と関係がある。それは、純粋に「力」を持つことに、最も適した構造である。君主が絶対とされる時代においても、資本が絶対とされる時代においても、それは人間にとって驚異的な程の力を持つ。
・近代においては、資本主義の作るシステムと、それの及ぼす驚異なども、これに当たる。
・それは、容赦なく我々に対して降りかかってくるようなものであり、我々はそれに対して、対抗していかなければならない。
・容赦なく、勢力を広げる力も持っている。それは、「赤」の持つ特性であり、「あらゆるものを赤にしようとする赤」の力である。我々は、ある時はそれに対抗しなければいけないし、またある時は、それに加担しなければいけない。そうしたものと上手く付き合っていく必要がある。
・人間は、「争い」があると、精神、肉体、共に「鍛えられる」ものである。この「鍛えられる」ということにより、自分が今まで持っていなかったものを得ることができる。
これは、『赤の勢力』の功徳である。
・カバラ的には、「ゲブラー」が割り当てられてるが、「ゲブラー」は「峻厳」の意味を持つ他、「ディン(正義)」、「パッカド(恐怖)」などの称号を持つ。
・カバラ的には、「ゲブラー」は、左側の柱にあり、左側の柱というのは、「陰」側の柱にあたる。一つ注意しておかなければいけないのは、「ゲブラー」的な存在のものは、「陽」側に置いてはいけないということである。「破壊者」「闘う者」である、「ゲブラー」を、国家において、「陽」側においてしまい、そちらに主導権を渡して国家を運営しようとした時、その国家は破滅の道へと向かうことになる。
・ヌーソロジー的には、ψ6に対応し、それは「他者」に対応する。
・自分の中の主体性を見失い、「他者」にあたるものに主体を持ってしまう、「他者化」の危険性も孕んだ存在でもある。
・本来、バランスを取るためにある、「破壊」「峻厳」と言った特性が、主導権を握ってしまい、抑えが効かなくなった時に、悪い事態というものが起きる。あくまで、主体は、ノウス側である、『中心の存在』『青の勢力』側であり、そちら側を先手に持った状態で、バランスを取っていく必要性がある。
・先ほど、『赤の勢力』は、人間の作った「組織」との関係が強いと述べたが、「組織」は、非常に強く「他者化」をもたらす構造である。
・「他者」の持つ力は非常に強力で、それは、我々に違う思想を植え付けるよう、容赦なく降り懸かってくる。我々はそれに対し、何かしら対抗しつつ、付き合っていかなければいけない。
・ヌーソロジーにおいての「位置の中和」は、「人間の意識が次元観察子ψ6に入ること」である。ψ6は『赤の勢力』に対応する。「位置の中和」は、はっきりした意味の掴みかねるものだが、意味を探っていくならそういった所である。
・ヌーソロジーにおいて、「融解作用」というものがある。
それは、「自己」と「他者」の関係性において、「他者」を主体として、意識を持ってしまうことをいう。即ち、「他者化」のことを言っていて、ヌーソロジーにおいては、これが「悪」とされる。
・ヌーソロジー的には、「他者」は「悪」というわけではなく、「他者」とどう向き合うかによって、「悪」の力が働くか、そうならないかどうかが決まる。
・ヌーソロジー的に、ψ6は「他者」とされるわけであり、その「他者」は、非情に危うい方向性を持っているわけだが、「自己」が更なる高みへと登るためには、こうした「他者」と向き合わなければならない。
そして、その中で、ψ7にあたるような、意識進化の方向性を、導き出していかなければいけない。
・『赤の勢力』の世界は、「闘い」の世界である。
一昔前は、「戦争」において、そうした物事が起きており、それは、如何にして武力を以て、相手に勝つかであった。
軍のような組織は、それに最も適した形にあたる。
・現代においては、「資本主義」の社会において、そうした物事が起きている。
それは、如何にして相手に物を買わせるか。商売において、同業者より抜きん出るようになるか、「競争」という闘いである。
・資本主義における経済的な競争とは、形は変わっていても、「闘い」の世界である。「闘い」とは、「他者」とどう向き合うかが、重要となる。
・古代中国において、「政治を上手く運営させることの重要性」と説いた、「韓非子」という思想家がいた。また、相手により上手く勝つ為の「兵法」の知恵に長けた「孫子」という思想家がいた。
これらの思想家が目指すものや、その教訓は、非常に「ゲブラー」的であり、『赤の勢力』的であった。こうした思想は、「ゲブラー」の要素を持つ思想としては、非常に優れたものである。
資本主義社会において、こうした要素は「経営者の経営戦略」にあたり、資本主義社会において、如何にして勝ち残っていくかが、こうした思想に該当する。
・しかし、こうした思想の中でも、「不戦を以て相手を制す」といった趣旨の教えも、中には存在する。そうした教えは、『赤の勢力』というよりも、どちらかというと、『青の勢力』に該当する。
・「火星」は、西洋占星術においては、「戦いの星」と呼ばれている。そして、一昔前までは、それはその通り、「武力」や「戦争」を司っており、その当時は、単純に「相手を打ちのめす力」が重要であった。
しかし、今の時代の「戦争」というのは、「より高価で優れた兵器を購入し、使用できる者」が、武力を持ち、有利となるようになった。即ち、これが資本主義の世界である。
従って、より賃金を増やすために、グローバルな産業、科学を駆使した商品、ロックカルチャーにポップカルチャー、優れた広告戦略などを駆使し、他国の文化へもそれらを浸透させ、商品を売り込むような風潮が生まれた。
そして、「火星」の持つイメージも、このような、資本主義において優位となるようなカルチャーのイメージへと、変貌を遂げている。
・『赤の勢力』は、ψ6にあたる「他者」との関わりが強い。
ψ5にあたる「自己」は、「自分にとって欠けがいのない、自分の持つ本質的な要素」を司っている。これが、カバラでいう「ティファレト」にもあたる。
対して、ψ6の「他者」は、カバラでいうと「ゲブラー」にもあたるものであるが、この「ゲブラー」は、「自分が、とある相手(他者)と付き合うために必要な武器」を司っている。
これは、基本的には、自分が「生き延びるための武器」にあたる。時には、単純に「相手を打ちのめす為の武器」であったり、「相手から身を守る為の武器」であったり、「相手を誤魔化す為の武器」であったり、「相手を楽しませる為の武器」であったりもする。いずれにせよ、これらは、周りに対して適応することを目的としている。
・この「自分の持っている武器」は、「ゲブラー」もとい『赤の勢力』が司っている。
そして、これは「他者」がいるから必要なものでもあり、この「武器」を磨くことこそが、自己が他者へと相対し続けることの目的である。
・このように「他者」と相対するためには、「自分の持っている武器」が大事となるが、『赤の勢力』は、その武器を磨くことを司っている。
・『赤の勢力』の次の次元ユニットにあたるのが、『青の勢力』である。これは、左側の柱にある『赤の勢力』に対して、右側の柱に存在するものである。
また、『中心の存在』と『赤の勢力』の関係性を上手く統合し、「自己」をより高次元へと導く、番人的な役割を持っている。
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