ピカソの絵とキュビズムについて

 ここで、現代美術の世界において、「キュビズム」という動きがここで重要になるので、それについて述べていきます。

 キュビズムとは何か?
 それは、20世紀初頭、1907年のピカソの絵が発端となったと言われています。これは、一つの対象に対し、複数の視点からの形を一枚の絵に納めて表現するという手法で、つまり、絵の形としては、ぐちゃぐちゃなものになるという描き方です。
 これは、「一つの視点から普通に描く」という観念を打ち砕き、「自分からモノを見たらこういう風に見ることができる」という視点が強調されます。
 つまり、「主観性」が重要視されます。3次元空間のゲシュタルトを撤廃し、「あるがままを見る」という視点からスタートすることで、こうした絵を描くことができるのではないかと思います。


※キョビズムの手法が用いられている、ピカソの有名な絵『泣く女』

 美術の世界では、ピカソがインパクトのある絵を描くことで有名ですが、ピカソの絵は、「自分はこのように見える」という印象の絵を描いている側面が強く、更にその上に強い「狂気」も混ざっています。だから、非常に強く3次元空間のゲシュタルトを溶かす力というのを持っています。ピカソが一流の芸術家として語り継がれるのは、それが理由だと思います。
 その奇抜さは、「綺麗に空間を描いた絵」とは真反対の方向性を持つものにあたります。

 もっとも、芸術の世界は奥が深く、究極の芸術は「旋回」をしているものなので、相反する性質を持ち合わせている、ということもあります。