ラカン用語を、ヌーソロジー用語と対応づけつつ、
まとめてみました。
『NOSとNOOSの精神分析』(ラカン編)に載せた最新の解釈です。
ラカンは、心理学の間でも哲学の間でも、
やたら難しいと評判の、フロイト派心理学者ですが、
ヌーソロジーと絡めてみると、少しは理解しやすくなるかもしれません。
ラカンを学習する時は、まず、「鏡像段階論」から理解し、
そこから、「想像界」と、それに対立するものとして、
「象徴界」を見ていきます。
そして、「想像界」「象徴界」の絡みから、「自己」と「他者」の交差の関係を見て行き、
「対象a」や「シェーマL」などの理解を、少しずつ深めていくのが良いと思います。
入門用の本としては、
割と本格的な入門用の書である、新宮一成著『ラカンの精神分析』と、
あと、『ラカン (FOR BEGINNERSシリーズ) 』なんかが、絵付きで楽しく親しんでいくのにオススメです。
~基本関連~
―『鏡像段階論』―
幼児は元々、自分の身体像を持っていないが、
他者からの視線や、そこから作られる「鏡像」から、
自分の身体像や自我を形成していくという理論。
ヌーソロジー的には、「見られる」という意識と、
『次元観察子ψ4』によって「客体」が形成されて、
人間の自我が生まれるという理論と繋がる。
―『想像界』―
「想像的自我」が形成される場。
映画「マトリックス」だと、仮想世界マトリックスに対応する。
ヌーソロジー的にはψ4と関係あり。『人間の内面』は想像界の入り口と言える。
突き詰めると『人間の感性(ψ10)』に対応する。
―『象徴界』―
「名」や「言葉」のある場であり、それらのネットワークが作る場。
映画「マトリックス」だと、マトリックス上のソースコードに対応する。
ヌーソロジー的にはψ3と関係あり。『人間の外面』は象徴界の入り口と言える。
突き詰めると『人間の思形(ψ9)』に対応する。
―『現実界』―
「想像界」からは捉えることができない、
「本当の現実」や「主体の本体」がある場。
映画「マトリックス」だと、マトリックスから目覚めた現実世界に対応する。
ヌーソロジー的には『位置の交換』が起きた時の世界が「現実界」の入り口と言える。
突き詰めると『次元観察子ψ9~ψ10』の先にある世界に対応する。
―『論理の時間』―
「三人の囚人」の逸話において出てくる、
「他人から見た自分を論理的に推測する」中で流れている時間。
「人間でないもの」が持っているものでもある。
ベルクソンの「持続」とほぼ同義として扱うことができ、
『人間の外面』や『奇数系観察子』にあるものだと解釈することができる。
―『対象a』―
簡単に説明すると「人間の欲望の根本的な原因となるもの」だが、
その扱いは書物によって異なるため、非常に難解な概念。
「想像的な対象」として扱われる場合と、「現実界を表すもの」として扱われる場合がある。
本来の「対象a」は「現実界を表すもの」であり、
対化を『等化』する『精神』と関係があるが、
人間の世界においてはそれが逆側へと倒錯し、
対化を『中和』する『付帯質』として機能するようになる。
これが「想像的な対象」としての「対象a」となる。
「乳房、糞便、声、まなざし」によって説明される「対象a」は、
『付帯質』として機能する「対象a」にあたる。
―『シニフィアン(名)』―
記号表現、能記、象徴、名。
「象徴界」にあるもの。
ヌーソロジー的には『次元観察子ψ3』や「主体」に付随しているもの。
「シニフィアン(名)」同士が『ψ9(思形)』を作る関係になる。
言葉の伝達においては「ψ*4→ψ3」という仕組みがあり、
ψ3に「シニフィアン(名)」がある。
―『シニフィエ(イメージ)』―
記号内容、所記、概念、イメージ。
「想像界」にあるもの。
ヌーソロジー的には『次元観察子ψ4』や「客体」に付随しているもの。
「シニフィエ(イメージ)」同士が『ψ10(感性)』を作る関係になる。
言葉の伝達においては「ψ*4→ψ3」という仕組みがあり、
ψ*4に「シニフィエ(イメージ)」がある。
―『象徴的関係』―
「主体(エス)」と「大文字の他者」、
ψ3とψ*3を繋ぐ関係。
―『想像的関係』―
「想像的自我」と「他者(小文字の他者)」、
ψ4とψ*4を繋ぐ関係。
~シェーマL関連~
『NOOS LECTURE 2013 vol.4』付属の資料の図と説明が、
一番簡潔にまとまっているので、それを引用する。
「シェーマL」とは、ラカンの鏡段階の理論に登場する有名な図式だ。この図式に次元観察子のψ3~4、ψ*3~4を直接入れ込んでみよう。 まず大文字の他者A=ψ*3が存在する。これは「わたし(想像的自我)」が生まれてくる以前に存在すると仮定される他者の知覚世界と考えられる。そこに主 体としての「わたし」の知覚世界=ψ3が出現してくる。わたしの知覚には他者の身体が映し出されてくるが、これは大文字の他者が自分の身体だと認識してい るもの=ψ*4であり、そこから主体は他者の眼差しを感じとる。と同時に主体はこのとき、他者の知覚の中に映し出されている自分の身体を想像し自らの身体 イメージのまとまりを作り、そこに想像的自我の拠点=ψ4を置く。以上がこの図式に示されている矢印の意味と解釈できる。
―『S、主体(エス)』―
幼児が「想像的自我」を形成する前からすでに持っていた、原始的なもの。
ヌーソロジー的にはψ3に対応する。自己の「主体」。
―『A、大文字の他者』―
主体(エス)と同じく、他者が持っている原始的なもの。
ヌーソロジー的にはψ*3に対応する。他者の「主体」。
―『’a、想像的自我』―
「鏡像段階論」によって形成される自我。
ヌーソロジー的にはψ4に対応する。自己の「客体」。
―『a、他者(小文字の他者)』―
肉体を持ってごく普通に見えるものとしての「他者」。
ヌーソロジー的にはψ*4に対応する。他者の「客体」。
~「父の名」や「ファルス」関連~
―『ファルス』―
ペニス(それも勃起したもの)で表わされる概念。
母親の欲望を満足させる、想像的なもの。
人間が本来持つべき欲望とは異なり、仮の姿として機能しているもの。
「子」は「母」の「ファルス」と同一化することにより、
幼児的な万能感を得るが、
それは仮の姿であるため、本来の欲望が満たされることはない。
原初の「母」と「子」の関係からできるものであり、
『感性』の『ノス』的側面と解釈することができる。
―『想像的なもの』―
想像界にあるものであり、『ノス』側のもの。
―『去勢』―
「父」の登場によって、
「母」から「ファルス」が取り上げられ、
「子」の「ファルス」もちょん切られること。
これによって「子」は「象徴的なもの」に向かうようになり、
「母」と「子」の「想像的関係」が切られて、
新たに「父」との「象徴的関係」が作られるようになる。
ヌーソロジー的には、『感性』の世界に没頭することを諦め、
『思形』の世界と交差することに該当する。
―『象徴的なもの』―
象徴界にあるものであり、『ノウス』側のもの。
―『父の名』―
「父」が持っている「象徴的なもの」として機能するもの。
「父」と「子」の「象徴的関係」を強くする機能を持つ。
『思形』のノウス的側面であり、
「言語」が作る具体的な作用と解釈することができる。
―『父の名の排除』―
精神病患者によく見られる、
「父の名」が始めから「無いもの」かのように扱われている現象。
「父の名」は「主体の欲望を正常化する機能を持つもの」として働くため、
それが無くなると、精神病のような状態になる。
人間の世界において、『思形』は『反定質』の力を作り出すため、
『反定質』に対する拒絶から起きるものと解釈できる。