【連載】サイキック研究

■サイキックの研究と分析(34) ~魔術や魔法の4大区分「術」「信」「智」「体」~

投稿日:2019年4月14日 更新日:

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◆◇魔術や魔法の4大区分「術」「信」「智」「体」◆◇

さて、前回は精神世界というジャンルを
『天』『人』『地』という3つに分けていくことについて書いていきました。
今度は、それとは違う4つの分け方をしてみます。

ここで、「精神世界」の追求に絡んだ分野を「魔術や魔法」と呼んでおくことにしましょう。
精神世界を「魔」とするならば、それを扱う方法が「魔法」で、それを扱う術が「魔術」ということになります。

「魔術や魔法」については、自分の書いた書籍『リアル魔法使い研究』でも色々と書きました。

そして、『リアル魔法使い研究』でやった試みとして、
古今東西の「魔術や魔法」を、以下の4つの区分にざっくり分けてみたというのがあります。

・『術:Mageia』
・『信:Pistis』
・『智:Nous』
・『体:Soma』

 
この4つについて、詳しく説明していきます。 
 

魔術や魔法の要素解析

まず、古代にあった「魔術や魔法」とか「神秘思想」とか「シャーマニズム」とかで持ってる要素に、
以下のもの達が挙げられます。 

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これらは、原始シャーマニズムだったり、ヘルメス主義だったり、ユダヤ教神秘主義だったり、東洋の体術などで見られる要素です。

次に、これらの要素で近いものをグループにまとめてみると、以下のようになります。

Majututati2_1_1

左上から、イメージ中心、信仰中心、理論中心、身体技法中心…でまとめた分け方です。

そして、これらをもう少し簡潔に書いてみると、以下のようになります。

4kubun2

そこで、これらのグループにそれぞれネーミングをすることにしました。
漢字とギリシャの単語を当てると、なかなか格好良くなりしっくりくるということで、
『術:Mageia(マゲイア)』『信:Pistis(ピスティス)』
『智:Nous(ヌース)』『体:Soma(ソーマ)』
という名前を思いつきました。
ギリシャの言葉は格好良いので自分は気に入ってます。

色々ある「魔術や魔法」は、以上の4カテゴリーに分けると整理できて便利なのではないか?
・・・ということで、以上の4つを提唱します。 
 

4区分について詳しく

それでは、4つの「区分」についてそれぞれ詳しく説明していきます。
 

術:Mageia

Zyutumageia

そもそも英語のMagicの元はペルシャ語の「Magi」から来てて、
そこからギリシャ語の「Mageia(マゲイア)」に派生し、
それらの経緯からMagicという言葉が生まれました。
・・・ということで、魔術(Magic)の原始とも言えるカテゴリーです。
原始的なシャーマンが使うものとか、抽象的な「術」を使うものが該当します。
「祭り」との親和性が高く、「芸術」との親和性も高いです。
むしろ名称を<芸>にしても良いかもしれません。
あと、音楽との親和性も高いです。抽象的なものをダイレクトに表現するにおいて、「音」というのは非常に合っています。

「絵画」や「文字」においても、
より抽象的で、幾何とか記号のような形をしていて、
呪術的な力を持つものが描かれている場合とか、
「マンダラ」のような模様が積極的に使われている場合は、
『術:Mageia』系のカテゴリーにひっかかっていると言えます。

~例~
・原始的な儀式魔術
・原始的な模様や呪文を使ったもの
・祭り
・芸術、音楽を使ったものなど
  

信:Pistis

Shinpistis

「Pistis(ピスティス)」とは、ギリシャ語で「信仰」とか「信頼」とかの意味を持つ言葉。
これは盲目的に、かつ一方的に「信じる」という意味ではなく、
神と人とで双方向で信頼し合って、
適した距離感で接していくための意味を持っているらしいです。

そんな『信:Pistis』系は、「神秘思想」や「神秘主義」といった、「宗教」に限りなく近いジャンルが該当し、
より良い「宗教」とは何なのか?を追求していくジャンルでもあります。
俗に「白魔術」と呼ばれるものも割とこれに近いです。

ある言葉を繰り返して潜在意識への働きかけを行う
「アフォーメーション」といった技法も『信:Pistis』系に該当します。
これは、ひたすらにキリストに祈り続けるようなキリスト教の手法に近いです。

「密教」にある「真言(マントラ)」を唱える技法などもこれに近いですが、
より抽象的な響きを持つものだと、どっちかというと『術:Mageia』系に近くなります。
ただ、具体的な「言葉」を用いるものは『信:Pistis』系に該当します。
「カタカムナ」や「古神道」などにある、「言霊の力」を活かすものは『術:Mageia』系と『信:Pistis』系の中間ぐらいに該当しますが、どちらかというと『信:Pistis』系に近い扱いのことが多いです。

~例~
・グノーシス派の神秘思想
・カバラ、ユダヤ教神秘主義
・キリスト教神秘主義
・ブラヴァツキーの神智学 
 

智:Nous

Tinous

「Nous(ヌース)」とは、ギリシャ語で「神的知性」とか「宇宙的知性」といった意味を持つ言葉で、
哲学者プラトンとかが重視した特別な言葉です。
「Nous」から「Gnosis(グノーシス)」という言葉へと発展したという説もあり、
そのあたりの思想は関係しています。

『智:Nous』系のジャンルは、
プラトンが提唱した「イデア」を認識するための
「哲学」や「数学」などが中心になっていきます。
あと、古代ギリシャにあった「ヘルメス主義」というものもこれに該当し、
それは「錬金術」とかも絡んでいます。

近代や現代だと、「4次元」という数学概念を追いかける神秘思想であったり、
あと、量子力学を絡めたものがこの辺のカテゴリーに該当します。
さらには、コンピューター、インターネット、人工知能が絡んでくる分野にもなっています。

『智:Nous』は、主に「知性」を使いながら「神」や「真理」を探究していくジャンルであり、
そこから様々な「魔術や魔法」にも繋がっていくことが望ましいです。

ちなみに、自分の専門である『ヌーソロジー(Noosology)』の「ヌース」は、古代ギリシャの「Nous」と、独自用語である「Noos」の二つの意味を持っていますが・・・ほとんど『智:Nous』のモチーフに近いものなので、
ヌーソロジーもこれを探求する学問と言っても良いです。

~例~
・古代ギリシャの哲学
・ピタゴラス派の数学
・ヘルメス主義
・4次元思想や量子哲学 
 

体:Soma

Taisoma

ギリシャ語で「体」の意味を持つのが「Soma」という言葉です。
単純に「身体」をベースにして「魔術や魔法」を扱うのがこのカテゴリーになります。

「身体」を重要視する考え方は、西洋よりも東洋の方がよく見られたりします。
西洋人は先に述べたような「神への信仰(信:Pistis)」や
「知性や数学を用いた解明(智:Nous)」に向かってることのが多いです。

東洋にあるもので「身体」を使ったものだと、インドの「ヨガ」などが挙げられます。
ブラヴァツキーやクロウリーなど、西洋人の中でも変わった人は
東洋の「ヨガ」に着目し、自身の神秘思想の完成度を高めています。

中国でも「身体」を使った技法は色々とあり、
「氣」の概念を用いた体術や、五行思想に基づく漢方や食事療法などがあります。

現代でも「美容と健康のためのヨガ」などは需要があるので、
その辺から盛り上がって欲しいジャンルだと思います。

~例~
・クンダリーニヨガ
・気功、古武術
・漢方、ハーブ学
・食事療法 
 

・・・以上、『術:Mageia』『信:Pistis』『智:Nous』『体:Soma』の4つの説明でした。
あとは「魔術や魔法」とか「精神世界」にある色んなものを見ていくと、
「これはこのカテゴリーのこれに該当するのでは?」と色々と思いつく所が出てくるかもしれないので、
色々と考えてみると面白いと思います。 
 

4区分と四大元素対応

さて、ここで『術:Mageia』『信:Pistis』『智:Nous』『体:Soma』は、
「なぜ4つなのか?」というのと、「なぜ4つに分けるとしっくりくるのか?」について書きます。

それは、西洋で伝えられている四大元素とも対応してるからです。

四大元素とは、「火」「地」「風」「水」の4つの元素ですが、
それぞれの元素は、それぞれの以下のカテゴリーに対応してると解釈することができます。

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例えば、「火」は精神や直観を表し、抽象的なエネルギーや原始的なエネルギーを扱っていくものなので、『術:Mageia』がしっくり来たりします。

「水」は感情を表し、「信じること」と「感情」は非常に近い関係を持つので『信:Pistis』です。
平和を信じて願うスピリチュアルな人が集まっている場所は、「水」的な人が集まっているという印象があります。

「風」は思考を表すので、「知性」や「理性」で物事を探求していく『智:Nous』は、ほとんどそのまま当てはまります。

最後に、「地」は物質や、肉体の感覚を表します。
「我々にとって最も身近で最も物質的なもの」というと、まさしく「肉体」ということになるので、これに『体:Soma』を対応させると良いでしょう。

以上のように、4つの区分を四大元素とも絡めていくと、
よりしっくりと来る整理ができます。
 

複合習得について

以上の4つのカテゴリーについてですが、
面白いのは、我々が何かの魔術や魔法を習得していく場合、
これらの中から「必ずどれか一つだけを選ぶ」というより、
「複合で選んでることもある」ということです。

以下のように、複数のカテゴリーを選んで習得していくこともあります。

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例えば、「術+体」だったり、「信+体」だったり、
「術+智」だったり、「信+智」だったりするわけです。
そういえば、それぞれの複合タイプをマスターしている場合、
それぞれ上級職業のように例えることができます。

『術:Mageia』+『体:Soma』:魔法戦士、スーパースター
『信:Pistis』+『体:Soma』:パラディン
『術:Mageia』+『智:Nous』:アークマージ
『信:Pistis』+『智:Nous』:賢者

以上のように複合要素を持つものを考えてみるのも面白いと思います。 
 

自分に向いているものと、他人に向いているものの違い

今回紹介した『術:Mageia』『信:Pistis』『智:Nous』『体:Soma』の4つは、
「精神世界」や「魔術や魔法」にあるジャンルが色々とある中で、
おおまかに4つに分けたものというものでした。

「精神世界」の道に入る場合、どれか自分に向いてるカテゴリーのものを選んでいくことになります。

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ここで重要になってくるのは、
自分の道として選んでいるものは、あくまで自分に向いているものであり、
他人にも向いているとは限りません。
他人が選んでいるものは、それはそれとして尊重しましょう。

それぞれについて詳しく知ると分かってくることですが、
大体どのカテゴリーにも欠点はあります。
それから、偽物みたいな人もいます。
『術:Mageia』系はとにかく抽象的で使いづらい。『信:Pistis』系は宗教と紙一重でほぼ一緒っぽくなる。『智:Nous』系も理屈ばっかの哲学と紙一重で頭でっかちになる。『体:Soma』系は確実そうですが・・・「身体」というのは色々と制限があるし、肉体強化至上主義と紙一重であったりと、これもなかなか扱いが難しいです。

とはいえ、欠点がある中でも、それをどれだけちゃんと使えているかは、その人次第であったり、
どれだけ真摯にその道に取り組んでいるのかだったり、
欠点があるならそれを自覚しつつ、その道を進んでいるかが重要な問題です。

それぞれのやり方は、いわば「流派」みたいなものですが、
他所の流派の欠点をつつきあったり、マウントを取り合ったりするのはやめましょう。
そういうのは発展性のないことでつまらないことです。
魔術や魔法がつまらないものになってはいけない。
周りからつまらないと思われたらそこで終わりになってしまいます。

そんな感じで、多種多様な「魔術や魔法」の習得には、
「自分に合っているものを選ぶ」ということと、
「他人が選んだものを尊重する」ということが肝になります。

以上、『術:Mageia』『信:Pistis』『智:Nous』『体:Soma』の4区分の説明はこれくらいにしますが、
もう少し詳しいことは、以下の本に書きましたので、
興味があったらよろしくお願いします。

 
 


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