最近、自分の所属してる界隈(まぁだいたいヌーソロジー界隈)で、
社会学者の宮台真司さんの名前をよく聞くので興味を持ちました。
とはいったものの、宮台さんの言説はどうも「クソ」とか「クズ」とか、
汚い言葉を使った批判的なものが多かったり、
若い人に対する見識もイマイチ明るくないかのようなものが多く見受けられます。
政治的な話題で「クソ」とか「クズ」とかいう言葉を使って色々と言われても、
個人的には関心を持つことができません。
(例えば、ネトウヨをウヨ豚とか思考停止のクズとか批判する言説を聞いても、自分のリアルではネトウヨは見たことないので個人的には興味がない。)
宮台さんの『社会という荒野を生きる』という書籍を買ってみたものの、
政治への批判の話が多くてイマイチ面白くありませんでした。
そんな中で『14歳からの社会学』という本を代表書籍として紹介されたので読んでみたら、
「こんな良い本があったのか!」と、
宮台さんの印象がかなり変わるぐらい良いものだったので、
ここでオススメしておきます。
だいたいの内容
大体の内容として、目次をAmazonから引用すると以下です。
1. 【自分】と【他人】 …「みんな仲よし」じゃ生きられない
2. 【社会】と【ルール】 …「決まりごと」ってなんであるんだ?
3. 【こころ】と【からだ】 …「恋愛」と「性」について考えよう
4. 【理想】と【現実】 …君が将来就く「仕事」と「生活」について
5. 【本物】と【ニセ物】 …「本物」と「ニセ物」を見わける力をつける
6. 【生】と【死】 …「死」ってどういうこと?「生きる」って?
7. 【自由】への挑戦 …本当の「自由」は手に入るか?
8. BOOK&MOVIEガイド …SF作品を「社会学」する
最初の方は導入として、昔は「みんな」っていうと大体の人がイメージできたけど、
今はそういうのが無いから、「みんな」ってどういうことなんだろう?
という問題提起から始まったりして、
そこから、社会とは何か? ルールとは何か?という話とか、
あと、恋愛百戦錬磨の宮台さんの得意分野である恋愛や性についてとか、
そんな話がどんどん続いていきます。
その中で、宮台さんが過ごした学生時代とか、
それに基ずく価値観の話とかもされています。
宮台さんの中高時代は6年一貫教育の私立男子校にいたけれど、
中学高校紛争という生徒と先生の激しい対立がめちゃくちゃあって、
それで生徒側が勝利することによって、
校則やルールみたいなものがない学生生活を手にしたものの、
それはそれでめちゃくちゃになった学校になって、
それについて考えざるをえないような環境にいたようでした。
なので、宮台さんは基本的に「ルールや法律の外の世界」っていうものに親しみがあるんですが、
逆にルールや法律の重要性も理解しているような、
そんな印象がありました。
あと、基本的にはリアルな性愛を求めていくのが宮台さんのスタンスなんですが、
2000年代に入ってコンピューターが作り出すバーチャルな恋愛ゲームが出てきているのも知っていて、
それはそれで「そういうのもアリなものだ」「間違ってるとは言い切れない」と、
ちゃんと社会事象の一つとして、良し悪しを決めつけず見ているようでした。
恋愛沙汰については学生からの相談も受けるみたいで、
若い人の恋愛事情についてもよく知っているみたいです。
一概に法外が良いとも言えなそう
宮台さんの言説の代表的なものに「法外のシンクロ」というものがあります。
それは法律やシステムや決まり事の外に行くことを好むようなもので、
法内での安定を求めるより、法外で出来る「つながり」にこそ確かなキズナがあり、
そこに価値があるという考え方です。
◆「法外」を恐れるな 社会学者・宮台真司教授インタビュー | 東大新聞オンライン
とはいえ、「法外」というワードばっかり聞くと、無法モノと汚い言葉を好む、
いかついオッサンという風に捉えられかねませんが・・・
やはり、宮台さん自身はどちらかというと
「法内と法外、どっちも利用している」ような立場でもあるので、
先の本を読むと実際はどちらかが良いとは考えない思慮深さがある人だと思いました。
本の最後にある「あとがき」では、
「これからの時代は予測がつかない」「こうなるはずだという思い込みで生きるのは危険だ」ということが書いてあるのも好印象でした。
そもそもこの本は、宮台さん自身の娘が、もし14歳になった場合どんなことを語りたいか?
を念頭に置いて書いていった本のようです。
だから、内容も言葉使いもとても丁寧で、メッセージが届きやすいように書かれていました。
この本ならば、自分も「若い人に読んで欲しいなぁ」と素直にオススメできると思います。
やっぱり個人的には、
この人は「クソ」とか「クズ」とかむやみに使ってない話の方が好きかなぁ・・・