以下の『「若者の読書離れ」というウソ』という本が面白そうだなと思って読んだ。
この本がなかなか良かったのでこれについて書いていきたい。
とりあえず箇条書きの感想から・・・
- 「昔からの統計を見るに、1980年代から1990年代にかけては確かに若者の本離れが進んでいた。ただ、2000年代に入ってV字回復していて、2010年代の兆候も平均読書数は微妙に上がってはいて、”若者の本離れが進行している”とは言えない」←本題の趣旨のまとめ。なるほど。
- 2010年代から最近ヒットした本とそれが売れた理由、雑誌の売れ具合、ラノベの売れ具合、大学生の読書事情・・・など、細かい所が書かれていてとても参考になる。
- 後半は筆者による「どんな本が売れるか」の独自分析であり、これはガチの出版社の人や編集者にとってもためになる内容なのでは?
- 『星のカービィ』が流行ってるらしいのはなんか嬉しくなった。
- 『キノの旅』が流行ってるらしいのはなんか嬉しくなった。
- 「結局、遺伝的要因などから本を読む人は読むし、読まない人は読まない。これは昔からそう」←これも本題の趣旨。なるほど。
- 2010年代や2020年代のカルチャーをざっくり把握するのに適した本だと思った。とはいえ、いっぱい作品があって分からん!気もする。
以下、個人的経験から読書について思うこと書く。
そもそも、自分(Raimu)が読書を始めたのはいつだったか?を思い返してみると・・・
小学生の頃は割と理系なのもあってこれといって本好きの人間ではなく、わざわざ小説とか読むのもめんどくさがるような人間だった覚えがあるが、ポケモンとかドラクエとかのノベライズで読むと面白そうな小説を読んでいたのがはじまりだった覚えがある。
そんな感じで読書の下地はついた所で、とりあえず興味を持った本を読むような人間にいつのまにかなってた・・・気がする。
そんな個人的経験もあるので、読書習慣をつけるのなら大体読みやすくて興味の持てるものから読むのが良いと思う。ゲームやアニメに関するノベルは特に定番なので良いと思う。
その辺の俗っぽい小説も馬鹿にできない。ちゃんとした出版社が出してるものは少なくとも日本語が破綻した文章を出してることはないだろうし、
有名なライトノベルは一流の作家が書いているので、文章のクオリティが非常に高いこともある。
とにかく日本語が成立している本を読んで日本語力をつけることが重要であるし、動画やSNSが流行っている時代だからこそよりそれが大事になってくるだろうと思う。
あとは自身の思想の方向性とか目的意識次第の話になってくるので・・・目的があって本を読む必要性が出てきたら、必ず読むようになるだろうと思う。こればっかりは本人がどういう人生を行きたいか次第になるので、向上心を持って欲しいと思いつつも見守って行くしかない。
先の本の筆者もそうして「とりあえず本を読んでもらう」ための導線を用意したい考えであり、中高生が好む本はどんなものか?を細かく分析しているので、なかなか良い方針だと思った。
あと、「上の世代の人が下の世代の文化を安易に良くないとする風潮は良くない」とか「本好きの価値観で良いと思った本を押しつけるのは良くない」みたいな考えもあるようだった。これも大体同意に思った。
世代分析についてあれこれ
現代日本における世代分析とか、年代分析といったことは自分も好きなのでよく考えるし、以前にブログで書いたこともある。
大体「Z世代」と呼ばれるのが1995年生まれ辺りからで、1995年生まれだと13歳の時に日本でiPhoneが登場し、15歳の時から2010年代に入った境遇である。
『オタクとは何か?』のシリーズでも、その分析の一貫で2010年代に起きたことを追っていったりした。
今の時代を読み解くキーワードは「情報過多」だと思う。
書籍『「若者の読書離れ」というウソ』で「今の若い人が読んでる」と紹介されていた本でも2000年代に出た本やそれより昔の本がありつつも、さらに今でも新しい本が出版されていくのが現状である。
現代は出版不況の時代とはよく言われるが、そもそも情報過多に対抗しないといけない時代なので、そのことによる苦境が大きいかもしれない。
だから今の時代に起きそうな方向性として、インフルエンサーとかが何か本を紹介して、それを追っていくのとかが良かったりするのだろうか?
ただ、インフルエンサーが紹介する本も昔の時代に出たもの含めて膨大な中から選ばないといけないし、
そもそもインフルエンサー達も膨大な数の中から出てきた人物であるため、ネットの情報過多がある中で選んでいかなければならない状況なのは確かである。
また、一昔前の現代日本は、高度経済成長期やテレビメディアによって皆が同じような「大きな物語」を共有していたが、2000年が近づくにつれてそれがどんどん崩壊していって、各々が「小さな物語」を持ってそれをベースに生きるような時代になっていった。
そんな「大きな物語」から「小さな物語」へ移行については2000年代から言われていて、2010年代もその地続きとなる。
ITの発展から、さらにSNSが流行る社会になっていくことで、そんな状況が加速していってるのが今の時代である。
そんなわけで、昔のように一概に「これが一番流行っている」みたいなものがあまり存在しないカルチャーになったが、そんな中でも唯一流行っていると言えるものは?というとインターネットであり、皆がスマートフォンを持って何かしらのSNSをやってることが多い時代である。
だからカルチャー分析をするならSNSを主軸に分析するのはアリだと思う。
Youtube、LINE、Twitter、Instagram、Tiktok、その他ファン向けのWebサービス色々・・・その辺りの流れをそれぞれ追っていくと見えてくるものがあるかもしれない?
とはいえ先の本でも書かれていたように、それぞれのSNSがある中でそこで紹介されて話題になったものがちょっとヒットしたりと、状況が多様化しているので全貌が掴みづらい。
そんな中で、現代はとにかく「楽しいもの」で溢れていて、さらにそれがSNSによって盛り上がってる社会になってると思う。
そんなSNSと情報過多の社会で生きているのが「現代の若者」とすると・・・
情報過多に翻弄される人、情報過多の中で頑張っているが埋もれる人、情報過多に吞まれないようになんとかやってる人、情報過多に吞まれないように浮世離れしてる人、必要な情報だけ上手いこと吸収して成長していく人・・・
それから、高SES(高い社会経済的地位を持つ親の元で産まれて育つこと)に該当する人、低SESに該当する人・・・
そんな感じで色々いると思うので、若い人と話す時はそんな感じで色々いると思いながら話して見守っていくしかないのでは?と思う。
「若者」と呼ばれる者の正確な全貌や詳細はなかなか分かりずらい社会のような気もするけど、書籍『「若者の読書離れ」というウソ』はそんな中での独自分析に挑んでいて、とても参考になる本だと思った。