ことの始まりは2019年6月に行われた
東京ヌーソロジーレクチャーのディスカッションの時間でした。
そこで、とある質問者の人が
「2020年頃にアセンションの門が閉じる」とかいう説が広まっていて、
それによって不安になってるスピリチュアル難民が多く出ている、
ということを言っていました。
これに対して、自分もちょっと意見を言ったり、
広告の仕事に詳しい天海ヒロさんに意見をうかがったりして、
時間を限定させることによって反射的に人を動かすテクニックがあるとか、
動物は本能によって恐怖で動くから、
不安を与えることで人を動かすことができるとか、
そんなことが言われました。
2020年頃にアセンションの門が閉じる説・・・・なんてものは、
当然、そんなわけないと言語道断な話で、
ヌーソロジー的にも、そういう時間概念ってのは、
そもそも人間が決めたものなので、
意識進化はそういうのとは関係のない次元にあるもの、ってことになります。
この件に関して、自分は始めて聞いたって感じでしたが、
ちょっと『2020年 アセンション 閉じる』でGoogle検索してみたら、
結構、簡単に情報が出てきました。
調べたらすぐ出てきたのは、
並木良和さんという人物だったので、
それについて書いていきます。
並木良和さんの本を読んでみての感想
並木さんは、スピリチュアル関係では結構有名な人で、
2006年からスピリチュアル・カウンセラーとして活動してるらしく、活動歴も長い人です。
2015年に始めての書籍も出しているらしい。
そんなわけで、その代表書籍らしい『みんな誰もが神様だった』という本を読んでみました。
Kindle版も書籍版も結構安くてリーズナブルです。
・・・で、感想としては・・・
自分がこの手の本を読むと、
「だいたいこの辺はすでに知ってる」って知識も多いので、
サーっと読む感じになったんですが、
結論から言うと、そんな悪い印象もなかったです。
中には、「不安や恐怖を取り除くことの意義」について書かれてる所もありました。
高次元のバイブレーションを持ってる神様は、不安とは縁のない波長になっているので、自分の中にある不安をはずしていくことで、肉体が軽くなって神様に近づける・・・という趣旨の内容です。
こうやって、「自分の中にある不安を取り除く方法」とかは、現代社会でもそこそこ使えそうです。
このように、ためになることもちゃんと書かれていた内容でした。
あと、自分的に気に入ったのは「垂直軸」の話です。
まず、「水平軸」と「垂直軸」というのがあり、どちらかというと世の中を物質的に見て、そこから人間社会に適応していく方向なのが「水平軸」の方向性。
そんでもって、高次元のバイブレーションに向かうには「垂直軸」を意識すると良いとのことでした。
以下は本書から引用です。
皆さんが意識を向けることで、波であるはずの現実という映像がガチッと固まることの傍証です。僕はこれを「水平軸」と呼んでいます。意識を向けたものが形になる。意識とはそういう働きを持っているのです。
あなたの外側には雄大な宇宙意識が広がっています。そちらの「垂直軸」の方向に意識を向けてください、それまで水平軸に意識を向けて「問題」として固めていたものは、意識をフォーカスしないことによって勝手に変化していくのです。
ここで、「垂直軸」と言っているのが「縦」のことを言ってるのか、「前」のことを言ってるのかは分かり難いですが・・・
この辺は、自分が『サイキックの研究と分析』で書いてる、波と粒の話にも近いです。
「波の世界」は精神世界で、そこに向かうと物質的には不安定な方向に向かうという話にもなります。
だから、不安定なものに恐れをいだきがちな人はそちらの方向には向きません。
これはほとんどヌーソロジーの話に近く、
「垂直軸」は、ヌーソロジーでいう「奥行き」の方向と一致していそうでした。
ただ、この人も立派なチャネラーらしく、
チャネリング存在から得た視点の話がメインです。
ネガティブなバイブレーションから意識をはずして、
それとは違うバイブレーションに意識をフォーカスすること。
みなさんにとって「心地よくない」ものを手放すこと。
他人からの視点を気にせず、自分がつくりたい現実を自分でつくること。
・・・などについてが書かれていました。
まぁ、「ワクワクすることをしましょう」に近い話が多かったです。
バシャールっぽい。
こうしたスピリチュアル視点な話ばっかりで、
人間視点の話がないと、自分なんかは物足りなさを感じてしまいます。
まぁ、その辺はこの人の個性なんで良いとして・・・
そんでもって、先の「2020年にアセンションの門が閉じる」問題は、
先の本にもちゃんと書かれていました。
平成30(2018)年から2020年まで、この3年間で、僕たちが本来の自分に目醒めるための、「目醒めのゲート」は閉ざされてしまいます。これは変えることのできない流れです。
似た内容が書かれていたのが6箇所ぐらい。
話を聞くに、2018,2019,2020の3年間というのが特に大事で、
それが過ぎると次のチャンスは26000年後になってしまう・・・というシナリオのようです。
やっぱりこれはちょっと問題、
いや、ここまで断言したものが広まるとかなり問題です。
根拠はなんなのでしょう?
社会情勢の動きから、部分的にやりずらくなる事象が起きるとかなら分かります。
もしかすると、本当にスピリチュアルの世界では閉じる動きが出ている所もあるのかもしれません。
しかしそれは確かめようがないことです。
並木さんは「これからの時代は自分軸であるべき」という趣旨のことはちゃんと言っていました。
「自分軸」とは「自己先手」とほぼ同義で、対義語の「他人軸」は「他者化」していく方向・・・
・・・つまり、これからの時代で望ましい生き方は、
他者の作った価値観にあまりまどわされないようにする生き方、ってことになります。
にもかかわらず、2020年問題についても念を押して言っていました。
「自分軸」ってことは、気付きや目覚めのタイミングも自分次第だし、
誰かの決めたタイミングに対して、そこまで恐れをいだかなくてもいいのでは?
並木さんは「不安や問題は人間が作っている」という趣旨のことも言ってましたけど、
こうやって時期を設定することで、余計な不安や問題が起きてしまっては、本末転倒になります。
内容はそこまで悪くないとはいえ、やはりこの部分に関しては引っかかりました。
「海王星」の限界の問題?
自分的には、
この手のスピリチュアルは「海王星」の産物いう印象です。
「海王星」とは?
「天王星」や「冥王星」に並ぶ、三大惑星の一つで、
西洋占星術にも特別な意味を持つ惑星です。
スピリチュアルや宗教の世界ともとても縁があります。
物質と精神の境界を曖昧にし、
物質を精神に近づける力を持つけど、
自己と他者の境界も曖昧になったり、
人間が持つ自我や知性の力も曖昧になってしまう・・・そんな力があります。
スピリチュアルなチャネリング存在からもたらされたものというのは、
明確な根拠にもとづいてできてるというか、
その存在の独自の世界観にもとづいて展開されていくものなので、
こうした独自視点が強すぎると厄介なこともあります。
さらに、聞き手や受け手の考える力が弱いと、
そうした情報の反対者が出ることもなく、そのまま拡散されてしまいます。
自分もスピリチュアルには詳しい人間なので、
並木さんの話がそれなりに正しいことは分かります。
ただ、部分的に致命的に間違ってる箇所がある場合、
全てが正しいように、感覚で信じるようになってしまった場合、
止める人間がいないとそれまでになってしまいます。
あと、この辺の話は「人と人同士の違い」が無視されることが多いです。
これは「同一性」と「差異」の問題にも絡んでくるんですが・・・
人間はそれぞれ、生き方も考え方も身体の特徴も違う別の人間ということがあり、
別の人間であることを考慮しないと上手くいかない話というのもあります。
「海王星」と「同一性」ってのは結構関係していて、
海王星なスピリチュアルだと、ここが盲点になりやすいです。
「あなたの感覚ではそうでも、わたしは違うのでは? 彼も違うのでは?」
この辺の問題が無視されることが多いです。
この辺は「ワンネス」の解釈問題にも繋がっていて、
「ワンネス」が2種類あることについては、川瀬統心さんがまとめています。
どうもこの辺は、
自分的には「海王星の力の限界」を感じてしまいます。
それに対して、科学のように物事をハッキリさせて考えていく力を持つのが「天王星」であり、
さらに「海王星」と「天王星」の性質を合わせ持っているのが「冥王星」です。
半田広宣さん提唱の思想体系『ヌーソロジー』は、
「冥王星のオコツト」という存在とのチャネリングから始まっていて、
オコツトの話もこれまたぶっ飛んだものが多いですが、
半田さんは、これに疑いをもって挑む所からスタートしています。
ここで「疑いにかかる」ことをしているのがヌーソロジーの特徴で、
チャネリングから派生した思想の中では珍しい特徴とも言えます。
並木さんの場合は「『上』はそう言ってます」という言い方で話を通してる様子でしたが、
半田さんの場合、半田さんからも自分の考えを述べる「対話」から成り立っています。
ここもまた、半田さんが特別支持される要因の一つかもしれません。
「冥王星のオコツト」と半田さんとの問答からできたヌーソロジーは、
立場的にその辺に近いってことになります。
不安や恐怖の克服と、動物意識の問題
さて、ここで「動物意識」の話もしていきたいです。
並木さんの言っている通り、
「不安を取り除く」という話は確かに重要で
不安や恐怖というのは、そもそもは動物が生存のために持っている性質です。
地上を生きる動物達は、不安や恐怖にさらされる環境を生き抜いていく中で、これまで成長してきました。
そして、動物の中でも哺乳類が進化していった先に、人間が誕生し、
人間の歴史もまた、生き物の進化の先に登場していて、
恐怖や不安や戦いの中で続いていきました。
こうした、動物の持つ「不安や恐怖」を克服することは、
「動物としての自分」を脱することや、いわゆる「アセンション」にも通じています。
それから、ここで、
天海ヒロさん提唱の『アニマンダラ』という生物論の話をします。
◆Animandala | 生命進化に見るココロのカタチ・アニマンダラ
「アニマンダラ」によると、人間はそれぞれ「動物意識」というのを持っていて、
その意識はそれぞれ多様な種類の動物のものであり、
一人の人が複数の動物意識を持ったりしています。
(鳥や虫も含めて。)
動物の生き方の多様性は、人のココロのカタチを反映している・・・
これはアニマンダラの基本理念の一つです。
つまり、人間は、生き方を参考にしているような動物を持っているし、
それは複数持つこともある・・・と思ってもらって良いです。
そして、このような動物意識が様々ということは、
「恐怖」の在り方も様々だ、・・・ということになります。
それぞれの多様な動物達は、生き方が様々であると同時に、
「死」や「生」に対する姿勢までもが、それぞれ違っています。
つまり、それぞれの人がどういう動物意識をどれだけ持ってるか次第で、
恐怖の克服の問題は千差万別で個人差があります。
「わたしができたからあなたもできるでしょ。」とは、簡単に言える話にはなりません。
それに、動物達は何千年も地上の世界を生きているので、
地球で長年つづいてきた営みというのは無視できず、
人によっては、簡単にその意識からはずせば済む話ではありません。
スピリチュアルを扱っていく際は、こうしたことも盲点になりやすいので、
自分の持つ「動物意識」についても、きちんと向き合っていく必要があります。