不定期連載『変換人型ゲシュタルト論』シリーズ。 記事一覧はこちら。
◆◇「ψ3~ψ4」のキアスム◆◇
『次元観察子ψ3』と『次元観察子ψ4』についてこれまで説明してきた。
当たり前の話だが、これは自分だけが持ってるものではなく、自分以外のたくさんの人達もそれぞれ持っているものである。
ψ3とψ4は「主体」と「客体」を構成しているわけだが、100人の人がいたらそれぞれが固有の「主体」と「客体」を持っているように、ψ3とψ4は自分だけではなく色んな人がそれぞれ持っている。
つまり、自己にとってのψ3とψ4だけでなく、他者にとってのψ3とψ4もある。
他者にとってのψ3とψ4は「他者側の観察子」ということで、ψ*3とψ*4という記述で説明される。
(ψ*はプサイスターと読む)
他者側の観察子には「*」をつけるのがヌーソロジーの決まりであり、ヌーソロジーを深掘りして学習していくと他者側の観察子の概念も出てくる。
それらを踏まえると、
「自己にとってのψ3が、他者にとってのψ*4の位置と重なり、自己にとってのψ4が、他者にとってのψ*3の位置と重なる」
という原理がある。
これを言い換えると、
「自己にとっての見える世界が、他者にとっての見えない世界であり、自己にとっての見えない世界が、他者にとっての見える世界である」
となる。
この意味が分かるだろうか?
今回はこれについて説明していきたい。
他者の瞳孔と自己の瞳孔
自己と他者がシンプルに向き合った時、その二人がそれぞれ見ている景色がある。
ちょうど、『視点変換3Dルーム』で視点の切り替えができるので、
それを使って説明しよう。
視点変換3Dルームの2番目の部屋には誰かいるようになっている。
自分をA君として、この人をB君としよう。
まずは普通に映ってる画面は「自分から見た景色」なので、「A君の視点」である。
そこで「Please push space key.」というメッセージの通りにSpaceキーを押下すると、視点がB君に変わって「B君の視点」になる。
その時、自分の顔はB君からの視点になった時に初めて見ることができるし、
「自分の顔の後ろ側にある背景」もB君からの視点にならないと見えない。
逆に、B君の顔は自分から見ることができるし、B君の後ろの背景も見ることができる。
しかし、B君の視点だとそれらを見ることができない。
ここで、B君の「後ろ側にある背景」をB君にとっての「見えない世界」、
B君の「前側にある背景」をB君にとっての「見える世界」とした場合、
A君からの視点と「見える世界」と「見えない世界」の関係が逆になっている。
また、A君の視点は「自己の瞳孔」で、B君の視点は「他者の瞳孔」とした場合、
お互いの視野空間の関係は以下の図のようになっている。
なんとなく分かってきただろうか?
図示して整理する
引き続き、自己と他者の視点の関係を整理していこう。
次元観察子ψ3~ψ4においては、
自己側の観察子だけの図だと「見える世界」と「見えない世界」の関係は以下のようになるが・・・
他者側の観察子も絡めると以下のようになる。
このように、他者視点まで考慮すると「主体/他者の客体」と「他者の主体/客体」の位置がそれぞれ重なったり、「ψ*3/ψ4」と「ψ*4/ψ3」の位置が重なったりする。
また、「見える世界」と「見えない世界」の関係も自己と他者で入れ替わったりするわけである。
以上のことから
「自己にとってのψ3が、他者にとってのψ*4の位置と重なり、自己にとってのψ4が、他者にとってのψ*3の位置と重なる」
「自己にとっての見える世界が、他者にとっての見えない世界であり、自己にとっての見えない世界が、他者にとっての見える世界である」
の意味がなんとなく分かっただろうか?
また、「他者の主体」と「他者の客体」を踏まえて人間関係を捉えてみるのも面白いと思う。
我々は普段の人付き合いにおいては、実は自身の「客体」と「他者の客体」同士で会話しているものである。
一見普通に会話してるようだが・・・お互いが「とりあえず見える部分で無難に話す」となると、
浅いコミュニケーションのレベルの会話となる。
これは構造的に捉えると、客体同士のやり取りになっている。
特にビジネス上での会話とか、打算と楽しさを重視するような浅いレベルの友人付き合いや、見た目を重視するような浅いレベルの恋愛付き合いだとその傾向が顕著になる。
もし、そこから深いコミュニケーションのレベルに入っていきたい場合は、
いかにして「主体」と「他者の主体」同士のやり取りに持っていくか・・・という話になる。
確かな「絆」とか「魂と魂のやり取り」はそういう所にあるため、
本質的な繋がりを作りたい人はそこに向かわなければならない。
日常における人間関係でそうしたことを考えてみるのも面白いと思う。
キアスムの奥深さ
このように、「自己×他者」で入れ替わる「2×2」の4要素の構造はヌーソロジーで『キアスム』と呼ばれていて重要視されている。
『キアスム』は汎用性の高い概念であり、何か難しい社会問題について考える場合でも重要で役に立ったりする。
難しい社会問題で善悪の問題について考えると、実は「自己×他者」の間で「2×2」の構造があることが分かっていると考えが深まるようになる。
いわば、一見すると善悪の対立のように見えるものは、深掘りすると「善悪✕悪善」みたいな二重の構造になっているということである。
その意味が分かるだろうか?
例えるなら・・・戦争などもそういう構造になってるのではないだろうか?
自分の国にとっては善である正義を元に、相手の国を悪と認定しても、
相手の国にとってはそれが善であり、自分の国でやってることが悪と認識されている。
それから、どうしてそういう状況になるのか? その原因は何か?まで突き詰めていくと、
どっちが悪なのか分からない実状が出てきたりもする。
そういう視点に立った場合、絶対的にどちらが善とは言いずらくなるのではないだろうか?
漫画作品だと『進撃の巨人』とかはそういう事象がとてもよく表現されていて面白いと思う。
この作品は最後まで読むほど色んなことが分かってくる。
このように、「自己側が善で他者側が悪」という二元論思考では絶対に解決できない問題がそこにあり、
これもまた『人間型ゲシュタルト』が作り出すものとされている。
ヌーソロジーの基本である『キアスム』の構造を理解することは、
そこから抜け出すためにも必要なことだと言える。
また、ψ3~ψ4における『キアスム』が分かると、それより上位の『次元観察子ψ5』の理解もやりやすくなるため、
先ほど説明した「見える世界/見えない世界」の関係についても頭に入れておこう。
↓続き
2013:The Day God Sees God 人類が神を見る日 [ digital edition ]
ヌーソロジーをちゃんと学習するならこれ! |