サウジアラビアがすごいことになってるらしい。
サウジアラビアは中東に位置するイスラム圏の国で、
石油が採れる産油国家として日本もお世話になっている。
今はロシアが大変なことになってるから、
ロシアからの石油に頼っていたヨーロッパの石油不足と電気代が大変なことになっているらしい。
日本もサウジアラビアとの付き合いがなかったら大変なことになっていたかもしれない。
とはいえ、サウジアラビアとか中東のあたりはよく分からないし、
あまり日本にとって文化的な面白みはない。
・・・と思われてたし、自分もそこまで興味を持たなかったのだが・・・
2022年に開催された『サウジアニメエキスポ2022』がすごいのを最近知った。
そこでは日本のアニメが大々的に扱われていたし、アニメ村みたいなものもできたらしい。
なんでこんなことになったのか?
2017年にムハンマド・ビン・サルマーン王子という人が皇太子になって、その人が大の日本好きらしい。
それだけでなく、サウジアラビアは2016年に「サウジビジョン2030」という経済改革スキームを掲げて一気に大変革ムードになっていて、日本のアニメを盛り上げる事業もその流れの中にあったらしい。
そして2022年のエキスポでは、コスプレで女性が髪や肌を出すことまで許可されるに至ったと聞く。
イスラム教を信じてる国がイスラム教のルールから逸脱して、女性が髪や肌を出すこと許可するなんてとんでもない話である!
なんでこんなことが起きているのか!?
・・・ということで色々と調べてみることにした。
サウジアラビアの歴史
とりあえず、以下の書籍を参考にサウジアラビアの成り立ちについて知ってみた。
サウジアラビアは地図的にはイランやイラクの左隣のアラビア半島にあり、
西に行けばエジプトがあるあたりに位置する。
主要な宗教はイスラム教で、バリバリのイスラム世界な国である。
ざっくり言うと「中東でイスラム教を信じている王政国家」ということになる。
中東のイスラム教の王政国家というと、我々日本庶民からするとなんとなく・・・
「王政が厳しくて大変」とか「国教としてイスラム教を信じていてそれが厳しくて大変」とか「そもそも砂漠の国なので石油以外の資源を生産しずらくて大変」とか「他国の人は簡単に観光で入れないようになっていて近寄りがたい」とか・・・
そんなイメージを持たれがちである。
・・・・・・まぁ、その辺のイメージでも概ね合っていたようだが・・・・・・
先の書籍によると、以下の特徴もあるため一概には言えない点も色々とあるらしい。
- 王政ゆえの争いは確かにあるが、王族が数千とか数万とかいるためその実態は分散的でもある
- 政教同一で動いている所は確かにあるものの、成り立ちは政教分離で始まっているから一概にそうと言えない
- 建国当初から王室は宗教を担当していなかったため、政治権威と宗教権威は使い分けられている側面をあわせ持つ
- 昔は宗教組織の力が強かったが、1970年以降の近代化によって官僚組織を作るようにもなる
- 建国時の思想的基礎となったイスラーム学者の末裔が政治中枢に及ぶぐらい権力を持っている。イスラム教として聖典(コーラン)を厳密に解釈してそれに忠実になるやり方を採用し、そのスタンスは「ワッハーブ主義」(またはワッハーブ派)と呼ばれる。それにおける「正しいイスラーム」が徹底的に追及され、それに反する者は排除される。多神崇拝は禁止で、偶像崇拝ももちろん厳禁である。自分らと異なるイスラム教の派閥に対して激しく排撃することもあり、非常に過激な一面もある。
サウジアラビアはサウード王家が1744年に国家体制をつくったことが大元で、1932年に主要地域が統一されたサウジアラビア王国が成立した。そんな感じで長い歴史があったため色々ある。
その一つ一つを追っていくと話がかなり長くなってしまうが・・・その詳細は書籍『サウジアラビア―「イスラーム世界の盟主」の正体』に書かれている。
とはいえ、なんにせよ以下の問題を抱えていたのは確かのようである。
- 「ワッハーブ主義」のやり方から、イスラム教過激主義が出てきてその問題が深刻になる
(実際に2001年のアメリカ同時多発テロ事件の実行犯の19人のうち15人がサウジアラビアの出身者であることが分かってしまったため、諸外国から敵意や偏見を向けられることになった) - 政教同一というほどではないにせよ、やはり政治的権力がイスラム教に依存する政教依存になってることは多く、イスラム教に反することはかなりやりずらい
- 「宗教警察」と呼ばれる組織が市民の言動を取り締まっていて、近代化に抗う存在になっていた
- 他国の人はなかなか受け入れない。実際に2019年で変わるまで個人旅行者に対して観光ビザが発行されなかったりと、観光が簡単ではなかった。文化が閉鎖的になるし経済面でも不利である
- 経済的な生産力がかなり弱い。石油での利益にかなり依存してるが、もしそれが無くなった場合は打つ手がない。
だから、以下のように改善されるように動いているらしい。
- 「中庸・穏健なイスラーム」を掲げる国へ
- 政教依存から脱却し、イスラム教から分離した法律を設定しつつ政治をやる
- 他国の人の受け入れるようにする
- 石油以外にもアピールできる強みがあるようにする
これらのことを実際にやろうと、2016年4月にサルマーン国王が経済改革スキーム「サウジビジョン2030」を掲げた。
さらにムハンマド・ビン・サルマーン王子が皇太子に任命され、その実質的な指導者になって、そこからサウジアラビアが激的に変わるようになった。
その経済政策の一つに「エンターテインメント産業の強化」があり、皇太子自身が日本の漫画やアニメが大好きなこともあって、「我が国もアニメーション産業のようなものを強みにしよう!」と動いているらしい。
実際に起きたことを追ってみる
さて、「サウジ・ビジョン2030」の提唱やムハンマド・ビン・サルマーン皇太子の就任以降を中心に、実際にサウジアラビアで起きたことを追ってみよう。
2016年4月:サウジ・ビジョン2030
「サウジ・ビジョン2030」はサルマーン国王が掲げた経済改革スキームである。
メインのスローガンは「活気ある社会」「繁栄する経済」「大望ある国家」・・・といった感じだが、
もう少し具体的には「中庸・穏健なイスラームへ」「近代化を推進して経済的に強い国へ」「石油に依存しなくても良いぐらい経済的に自立した国へ」・・・みたいな内容でもあった。
そうして従来より大変革を目指すことが掲げられ、実際にそこからサウジアラビアは変わっていった。
そもそも、「中庸・穏健なイスラームへ」に関しては、ずっと以前から課題があった。
2001年のアメリカ同時多発テロ事件の実行犯の19人のうち15人がサウジアラビアの出身者だった。
首謀者のウサーマ・ビン・ラーディンもなんとサウジアラビア出身だった。サウジアラビア国籍を剥奪された人間ではあったが、「アメリカを標的にしたテロリストを産んだ国」のイメージがついてしまったため、国として大変なことになってしまった。
当時、政治を取り仕切っていたアブドッラー皇太子は、2003年に「中庸と穏健」という政策路線を掲げた。
イスラム教過激主義をどうにか抑えこみ、中庸と穏健なイスラームを目指す流れはその時からあった話である。
経済に関しても、2002年に「2025年長期戦略とサウジアラビアの経済のビジョン」という経済改革スキームが出て、変えていこうとする動きがあった。
その一方で、イスラム教のワッハーブ主義の影響で近代化の弊害となる問題はたくさんあったので、なんとかしなければならなかった。
「サウジ・ビジョン2030」で掲げられた目標にはそうした長年の背景があり、サウジアラビアの負の側面を大きく変えていくためのものだったわけである。
そして、「サウジ・ビジョン2030」は経済改革スキームなので、主要な目的は産業発展である。
それによる産業多角化の柱の一つにアニメ・漫画・テレビゲームといったエンタメ産業が含まれているため、それが『サウジアニメエキスポ2022』へと繋がるようにもなる。
2017年6月:ムハンマド・ビン・サルマーン王子が皇太子就任
ムハンマド・ビン・サルマーン。
第7代国王サルマーン・ビン・アブドゥルアズィーズの息子である。
「ムハンマド」がfirst nameの部分に該当するので、名前で簡潔に呼ぶならムハンマド王子かムハンマド皇太子になる。
生年月日は1985年8月31日。2023年時点で37歳の若さを持つ首相である。
ムハンマド皇太子の経歴は、民間で働いたりコンサルタントを務めてから政界入りするようになったりと色々あるが・・・
最終的にサルマーン国王の勅命によりムハンマドが王太子に昇格し、王位継承者となったらしい。
「ムハンマド皇太子はアニメ好き」と知られることでも有名である。
それがどれほどなのかは分からないが、ムハンマド・ビン・サルマーン皇太子が2011年に設立したミスク財団の子会社に「マンガプロダクションズ」があり、そこがアニメやゲームなどのコンテンツ制作を行いつつ、そうしたコンテンツを作れる人間を育成しているのは事実らしい。
また、『ワンピース』のファンらしく、「サウジ・ビジョン2030」におけるアニメ・漫画発展の最大の理解者とも言われている。
そんなムハンマド皇太子は「サウジ・ビジョン2030」の主導者となり、そこからサウジアラビアは大きく変わっていくことになる。
そこから変わっていったことは・・・後述する「女性活躍の推進」の話に繋がってくる。
2017年6月~:女性活躍の推進
従来のイスラム教の国のイメージといったら、一言で「男尊女卑」と言い切ってしまって良いぐらいに、女性の社会的地位が低くて大変そうなイメージである。
聖典『コーラン』にも以下の記述があるらしい。
(書籍『サウジアラビア―「イスラーム世界の盟主」』より引用)
男たちは女たちの上に立つ管理人である。アッラーが一方に他方以上に恵み給うたことゆえ、また、彼らが彼らの財産から費やすことゆえに。それゆえ、良き女たちとは、従順で、アッラーが守り給うたがゆえに留守中に守る女たちである。(コーラン四章三四節)
女の信仰者たちに言え、彼女らの目を伏せ、陰部を守るようにと。また、彼女らの装飾(顔と両手以外)は外に現れたもの以外、表に現してはならない。(コーラン四章三一節)
こんなことが偉大なる聖典に書かれているから大変だ!
これはあくまで「女性を守るための決まり」ということになっているから、良き男性の元で守られる立場になればもしかしたら楽なのかもしれないが・・・。やはり男性から管理されることが前提となってくる。
しかし、近代化のためにはそうも言ってられない事情も出てくるようになった。海外に向けて変革をアピールするためには、女性活躍のスローガンを挙げることも必須事項となった。
2002年の経済改革スキーム登場から、女性が活躍する方向に少しずつ、少しずつだけ進んでいく流れもあった。
そして、大きく転換するようになったのは2017年以降、ムハンマド王子が皇太子に就任し、「サウジ・ビジョン2030」の主導者になってからである。そこから色んな変化が起きた。
その主要なものを挙げると以下になる。
- 2017年7月:女性を対象とした体育授業の導入
- 2018年1月:スポーツ観戦の許可
- 2018年6月:自動車運転の許可
- 2019年8月:男性親族の後見人を伴わない海外渡航の許可
我々日本国民からすると、そもそもそんなことすら女性は許可されてない国だったのか?とツッコミたくなる所でもあるが・・・
こうした規制緩和をへて、都市部では髪や首を露出したファッションが当たり前の光景になったらしい。
また、女性がCEOになったり会長になったり役員になったりホテル総支配人になったり、重要な役職につく事例が出てくるようになり、そのたびに「政府の推進によって女性がここまで活躍できるようになった」と、政府がアピールする展開になった。
しかし、そこにはまだまだ課題もある。
こうした女性活躍の結果は政府の功績、とくにムハンマド皇太子の功績としなければならない。女性の功績であってはならないことであり、政府主導であり男性主導であることが前提の意図がある。
そんな裏事情もあることから、政府が女性を管理している状況自体は大きく変わってないともいえるため、本質的に女性が活躍する社会になるかどうかはまだまだ分からない所である。
2018年4月:大規模な滞在型リゾートの建設計画開始
経済改革スキーム「サウジ・ビジョン2030」は観光業に力を入れることも掲げられていた。
2018年4月、ムハンマド皇太子が代表を務めるミスク財団はリヤド郊外でテーマパーク『キッディーヤ』の着工を開始した。
これは国内で初となる大規模な滞在型リゾート建設計画となった。
この計画は海外から訪れた観光客に消費してもらうことはもちろんとして、自国民が「娯楽がないから」と海外に出向くことによる消費を国内で促す目的もある。
かつての国内の娯楽行事というと、伝統的な手工芸品や剣舞など、サウジアラビアの伝統文化の紹介がメインであったが、
娯楽庁が推し進める近年の催事は、ロック音楽のコンサートやアメリカの女子プロレスの試合など、これまで否定的に見られることもあった西洋文化色の強いものが行われるようになった。
後述する「観光査証の発給」と同様に、そうした観光政策を積極的に行うようになったわけである。
2019年9月:観光査証の発給
観光業に力を入れることも掲げたサウジアラビアは、観光ビザの発行を簡単できるようにようやく動いた。
49カ国を対象に観光査証の発給を開始すると発表したのが2019年9月になってからだった。
非ムスリム(非イスラム教徒)以外の観光ビザを発行する決まりは団体ツアー限定なら2007年からあったが、個人旅行者に対しての発行は2019年9月28日でやっと許可された。
それ以前は、ムスリム向けの巡礼用ビザだったり、商用短期訪問ビザだったり、家族訪問ビザだったり、女性は既婚者が原則だったり男性の近親者同伴が必要だったりと、色々と制約があった。
ここに至るまでの経緯は色々あったが・・・「排他的で過激なイスラーム」のイメージを覆すために、政府高官らは「外国人にサウジアラビアの真の姿を見て欲しい」と語っているらしい。「サウジ・ビジョン2030」によって新しくなった我が国を積極的に見て欲しいという、近代化アピールの意図があるわけである。
これは「女性活躍の推進」の取り組みとも関係していて、女性が自由を謳歌できるようになった姿を見て欲しいという意図もある。したがって、女性の解放や宗教的な規制の緩和とが連動していることも背景にある。
2019年9月:風紀法
サウジアラビアでは従来「勧善懲悪委員会」なる宗教的な機関がイスラームの教えに則った風紀を取り締まっていたが、それは変革の波によって2016年に姿を消していた。
それに代わって2019年9月に「風紀法」が定められるようになった。
そこにはジェンダー規定や服装規定なども含まれている。
ここで重要なのは「取り締まりを行うのは警察官」と定められていることである。これまでは宗教機関が監視と取り締まりをしていたが、世俗機関がその権限を持つようになったわけである。
また、違反した場合の刑罰は財産形(罰金)に限られるようになった。イスラーム法学では鞭打ち形などの身体刑が許されていたが、それは許されないようになった。
これまで宗教的な権威が解体されるように、反権威!反権威!みたいな方に向かっていったようだが・・・。むしろ宗教的権威が弱まって自由度が上がった状況こそ、警察が権力を握ってちゃんと取り締まる社会が重要になってくる。
これも近代化に向けた大きな変化だと言える。
2019年11月:サウジ アニメエクスポ2019
さて、いよいよ『サウジ アニメエクスポ2019』の話へ移ろう。
これは有名なので調べたら色々と情報が出てくる。
サウジアラビアの首都リヤドで2019年11月14日~16日に行われた、日本のアニメや漫画を大々的に取り上げた祭典である。
王国政府主催の公式イベントであり、「ジャパニメーション」がメインのものはこれが初となる。
来場者は3日間で37,800人ほどまでいったらしい。
日本人のアニソンシンガーが参加したり、日本企業が関わったりと・・・
日本もかなり介入しているので、情報が色々と出回っている。
「SAUDI ANIME EXPO 2019」は各種展示や体験コンテンツ、ステージパフォーマンスを通して日本のアニメを発信していくサウジアラビア王国政府主催の初の公式イベントです。会場内は日本でも話題のアニメ関連展示を中心とした「エキシビジョンエリア」、大人気アニソンシンガーのライブやトークショーなどをお楽しみ頂ける「メインステージエリア」、アニメキャラクターになりきれる「コスプレエリア」、日本を代表するアニメをご鑑賞頂ける「ムービーシアターエリア」、日本のグルメを堪能頂ける「カフェエリア」で構成されております。連日開場前からエントランスには大行列ができ、本イベントの注目度の高さが伺えました。
Youtubeで調べてみても、その様子を映した動画が見つかる。
とくに『進撃の巨人』の人気ぶりが動画内では強調されている。
自由を求めて戦うシナリオがサウジアラビアの人達の心を動かしているのだろうか・・・?
サウジアラビアの近代化で人気が出たコンテンツは日本にアニメや漫画に限ったものではないらしいが・・・
日本のコンテンツもすごい人気と熱気があるので、こちらも嬉しく思うことである。
2021年:映画「ジャーニー」が公開
ムハンマド皇太子が運営するミスク財団ではアニメクリエイターの育成も取り組んでいて、その子会社のマンガプロダクションズがその役割を担っている。
そして、マンガプロダクションズと東映アニメーションが共同で映画『ジャーニー』を制作し、2021年6月17日に公開された。
YoutubeのManga ProductionsチャンネルでもOfficial Trailerが公開されている。
◆ジャーニー 太古アラビア半島での奇跡と戦いの物語 – Wikipedia
製作陣を見るに、監督や脚本といった主要なものはほとんど日本人がやっているらしい。
ただ、イスラム教っぽさが混じっていてなんだかすごい。
Manga Productionsチャンネルでは、他にも色々とやってそうである。何を言っているのかはよく分からないが、面白そうなのでは・・・?
なんかゲームも作ってるらしい。
これもなんだかすごいと思うので、今後の発展にいろいろ期待したい。
2022年10月:サウジ アニメエクスポ2022
さて、ようやく『サウジ アニメエクスポ2022』の話である。
『サウジ アニメエクスポ2019』から3年後で、2回目のイベントである。
これは割と最近の出来事であるし、普通に日本のニュースでも取り上げられているのが見つかる。
ここでも「ムハンマド皇太子は日本のアニメが好き」と報道されている。
特筆すべき所は2019年の時よりも「コスプレにおける肌の許容度が上がった」ことで、これはイスラム教国からすると驚きなポイントだが・・・
そもそも、「都市部にて髪や首を露出したファッションが当たり前になった」ことは以前からあったので、徐々に許容度が上がったことによるものなのかもしれない。
元々サウジアラビアにあった厳格なワッハーブ主義のイスラームの教えからすると、多神教や偶像崇拝は特に厳禁なはずなのだが・・・。いや、そうした過激主義への反発が背景にあったからこそ、逆にこうした寛容な方向に進んだとも考えられる。
「日本のアニメ村」もできたらしいし、今後の発展に期待したい。
具体的にいつ頃から日本のアニメが人気だったのか?
サウジアラビアで日本のアニメが人気で、ムハンマド皇太子も気に入った。
2017年から政府が公式で推進することによって、さらに爆速的に加速しているのは分かった。
アニメの普及は具体的にいつ頃からなのだろうか?
どの辺の時期からどうやって?
時系列的にいつ何が流行っていた?
というのも少々気になったので、軽く調べておきたいと思った。
◆サウジアラビアが日本のアニメやゲームに興味津々な理由、SNK買収も | News&Analysis | ダイヤモンド・オンライン
とりあえず、サウジアラビアで日本のアニメがテレビ放送されるのは1980年代になってからで、
1975年に日本のマンガ家である永井豪によって制作された『UFOロボ グレンダイザー』が、当時視聴できる数少ない完全吹替のアニメの1つで、レバノンのチャンネルTele Liban(テレ・リバン)で最初に放映されたらしい。
あと、当時放送されていたものだと『キャプテン翼』も人気だったらしい。
そこから、ネットの発達によって『NARUTO』『ワンピース』『名探偵コナン』といった作品も人気が出るようになり、
Netflixが登場してからは『鬼滅の刃』といった作品も日本で人気が出てから間もなく人気が出るようになったらしい。
古くからこうして人気はあったそうだが、
インターネットが普及してからは、海賊版のアップロードによってみんな観ている、と取材の結果分かった記事もあった。
(薄々そんな気はしていたが・・・。これは仕方のなさもあると思う)
◆サウジでアニメエキスポ? 「進撃」だけじゃないファンの熱量|中東解体新書|NHK NEWS WEB
とはいえ、皆にとって長いこと未開の地だった場所なので、
昔の話となると調査や取材をもっと進めないと分からないことは多そうである。
今後も、サウジアラビアの動向に期待しつつ、その詳細が調査されることも期待したい。
おわりに
改めて書くと、サウジアラビアは石油が採れる産油国家として日本もお世話になっている国である。
情勢的にロシアの石油に頼れなくなった今、産油国に好かれているのは大変有利でありがたい。
そういう経済的な安心感もあるし、自国の文化がこれほどにウケているのも大変嬉しいことである。
その歴史を調べてみても色々と面白かった。
アメリカ同時多発テロ事件の首謀者のウサーマ・ビン・ラーディンの出身地でもあったとは・・・その辺のことはよく知らなかった。
イスラム世界の中での立場だとワッハーブ主義は排他性が強いのと、そこから過激派が出る危険性を含んだ国として重要だったらしい。
確かに、ワッハーブ主義は多神教や偶像崇拝をとくに嫌うらしいが・・・。ワッハーブ主義が主流だったサウジアラビアが次第に日本のアニメ好きの流れになっていくのは、その反動としてむしろしっくり来たと理解すると納得できることなのかもしれない。
そうなると、逆に従来のワッハーブ主義的伝統を好んでいた者はどうなっているのだろうか? そこからさらなる反動が起きてきたりはしないだろうか?
その辺りの裏事情もちょっと気になってくる。
欧米文化の導入と多様化でちょっとむちゃくちゃになるのは日本も他人事ではない。
女性活躍の流れは今後どうなっていくのだろうか?
近代化の流れで失敗した側面とかはないのだろうか?
サウジアラビアも微妙に少子化に向かっちゃったりはしないだろうか?
そんな感じで、サウジアラビアは色々と面白そうな国であることが分かったので、
今後も日本文化好きの産油国として、その動向に注目したい。