不定期連載『サイキックの研究と分析』シリーズ。 記事一覧はこちら。
◆◇サイキックとタルパについて◆◇
一部の人に需要がありそうなので、
「サイキックとタルパ」について書いておこうと思います。
まず、知らない人向けに「タルパ」とは何か?という話からします。
「タルパ」は、元は「トゥルパ」と呼ばれていたもので、
これはチベット密教の世界で出てきた概念です。
「霊的に作ったもの」というような意味で、「トゥルク」という似た用語もあります。
「トゥルパ」や「トゥルク」はチベット密教の修行の中で出てくるもので、
それぞれ菩薩や仏の力の現れとされています。
そうしたものが、アレクサンドラ・デヴィットニールというフランス出身の女性冒険家によってアメリカに伝えられることになります。
デヴィットニールはアメリカで有名な「神智学協会」のメンバーであり、
20世紀のはじめ頃にチベットに二度に渡って入国し、
ダライ・ラマ13世とも交流したりした人物です。
そうした中で、チベット密教の教えを受けて、上記の「トゥルパ」と「トゥルク」の概念を知り、
「想念のエネルギーによって霊的存在を作り出すチベットの秘技」としてアメリカに伝えられるようになり、
著作が出版されることで、その概念が広く知られるようになりました。
それから、彼女は「神智学協会」のメンバーということもあり、
その辺の神秘思想とも絡められることにもなります。
アメリカで広まった結果、日本にも伝わるようになり、
その課程で「霊的存在を作り出す術」が「タルパ」と呼ばれるようになります。
1980年代後半頃に、高橋聡一郎や斉藤啓一といった人がタルパについて言及し、
書籍がいくつか出てくるようになりました。
そこで、仙道に出てくる「陽神」といった概念とも絡めて扱われることも出てきます。
オカルト雑誌『ムー』とかでも取り上げられたことがあるらしいです。
そして、現代のタルパで決定的なのは、インターネットで流行ったものです。
インターネットが普及していった1999年頃に、2chで「タルパスレ」というものができて、
「タルパを説明するためのコピペ(コピー&ペーストで作られた文章)」が登場して、
その中で広まることになりました。
こうして、インターネットを中心とした広まりが、現代にも通じるようになります。
現在では以下のコピペが普及しています。
「タルパの作り方」
タルパ・・・・チベット密教の秘奥義で、修行を極めた者のみに伝えられる秘奥義・・・・・・
日本語訳で「人工未知霊体」つまり、人間が「無」から霊体を作り出してしまう方法です。
貴方が理想とする人間を想像します。
イメージに揺らぎが出ないように、全体のバランスを取りながら、細部も詳しく想像します。
人格も同じく、細部まで想像します。
この術のポイントですが、「頭の中の世界」で想像しないで、現実世界に重ねて想像するのです
いま、自分の目の前に彼女がいる、と想像します・・・・・それが「奥義」です。
何か、とても簡単で、どこも特別じゃないような気がしますが「現実世界の上に重ねて想像する」
ってのは、簡単なようでいて、意外と誰もしないのです。
実際やってみると、えらく難しいのが判ります。
細部まで想像出来るようになるには慣れが必要ですし、全体を捕らえながらやろうとするとまた難しいのです。
そして、彼女をただ想像するだけでなく、「人格の形成」も同時に行っていきます。彼女を「動かす」のです。
例えば、彼女と「会話」をしてみます。
もちろん最初は、貴方が「彼女のセリフ」を考えて、一人で二人分の会話をスムーズに頭の中に流さなければなりません。
もちろん、慣れたら細部にこだわります。
会話するとき、例え自分が考えたとしても、「彼女に喋らせる」事を忘れないでください。
彼女のセリフも、「彼女ならこう答えるに違いない」とか、
「彼女は頭がいいのだから、ここまで考えて喋るはずだ」とか、考えて下さい。
そのうち慣れて来ると自分が考えて喋っているのか、彼女が考えて喋っているのか判らなくなってきます・・・・
そのうち、完璧に彼女自身が喋り出してきます。
詳しく知りたい人向けにWikiとかもできています。
◆テンプレ – タルパを本気で作ろうと思っている まとめ – アットウィキ
そんでもって、こうして広まったタルパは「ネットタルパ」と呼ばれ、
一部の若い人の間で流行ることになりました。
空想で遊ぶだけの人、タルパとは何なのか議論をする人、
現代だとTwitterでタルパの姿を描いて公開して楽しむ人・・・と色々と出てくることになります。
タルパについては以下のKindle書籍『タルパ×コンプレックス』が有名だしオススメです。
この書籍には、ネットタルパで書かれているような手法とは違った、
魔術や心理学的にも理に適ったタルパの作成方法が書かれています。
(自分の『リアル魔法使い研究』と同じで個人の研究によって書かれた書籍です。)
さて、ここまで3つのタルパについてまとめると、以下になります。
チベット密教のタルパ:
「トゥルパ」とか「トゥルク」とか呼ばれるもの。
「霊的に作ったもの」といった意味。
仏の力や菩薩の力の現れとされる。
デヴィットニール氏のタルパ:
想念のエネルギーによって作られる霊的存在として広まる。
日本に伝わって「タルパ」と呼ばれるようになる。
派生して仙道の「陽神」と絡められることもある。
ネットタルパ:
コピペ文章で普及した、コピペで書かれている通りの意味。
「人工未知霊体」のように扱われる。
これらの経緯をまとめると、
「東洋の秘技」→「アメリカの神智学協会」→「日本のオカルトブーム」→「インターネット」・・・ということになります。
もともとはオカルトな分野にあったものがこうしたルートをたどって広まるのは、もはや王道ルートのようなものなのでは?と思います。
「意識」と「タルパ」の関係
以上のように、「ネットタルパ」が一番普及しているものの、
「タルパとは何か?」については諸説があります。
とは言ったものの、要は「意識によって偶像が作られる」⇒「偶像が自動で動き出す」ことができれば、それはざっくりとタルパと言うことができます。
すなわち、タルパとは「『意識』によって作られて、自動的に動くようになった偶像」だということです。
しかし、問題は「『意識』とは何か?」という話です。
普段の人間が、それぞれ「これが自分の意識である。」と認識している「意識」とは、
すなわち「自我」のことを言いますが、
他にも、無意識、潜在意識、集合無意識、他者の意識、高次元の意識・・・とかまで考えると、「意識」には色んなものがあります。
このように、多種多様な「意識」を元に作られるものが「タルパ」なのだから、「タルパ」にも色々あるわけです。
「意識」の研究は「タルパ」の研究と同義になるため、
タルパを明らかにするには意識を明らかにしなければなりません。
だからこの分野では心理学者による意識の解明が必要になります。
「意識」の問題は「サイキック」の問題と絡んでくる・・・ということで、
サイキックの話にも繋がってきます。
「意識」は我々が認識しやすい「物質の世界」にある領域のものと、
認識しずらい「波の世界」にある領域のものがあります。
そして、「波の世界」にある「意識」は、前に説明したように、
「無意識の世界」や「夢の世界」と接点を持っています。
「波の世界」側は、突き進んでいくとユングの言った「集合無意識」や、
仏教・密教で言われている「仏の世界」があったり「菩薩の世界」があったりします。
「菩薩の世界」にまでアクセスができれば、「菩薩の力の現れ」としてのタルパも出てくるわけです。
以上のように、サイキック領域の「意識」まで含めて考えると、
「物質の世界にある意識」、「波の世界にある無意識」、「さらに奥深くにある意識」
・・・と色んな所から作られる可能性のあるものが「タルパ」だということになります。
唯物タルパと魔法タルパ
タルパと意識は密接な関係にある・・・ということで、
意識の在り方次第でできるタルパが違ってくることになります。
『サイキックの研究と分析』では、
科学で証明できない見えない世界を「波の世界」と呼んで扱っていますが、
もし、「そんな世界などない!」という、唯物論な人がタルパを作った場合はどうなるのか?
そうすると、「物質の世界」にある「意識」をベースに作ることになります。
あるいは、「波の世界」から出てきた意識が浮上してきたとしても、
恐らく上手く扱うことができません。
![Yuibututarupa Yuibututarupa](https://raimuspace.com/blog/image-files/photos/uncategorized/2019/02/02/yuibututarupa.jpg)
「唯物タルパ」と呼んでみよう。
一方で、「目に見えない世界」を信じることができる人、
魔術とか魔法とか関心のある人は、そういう所からタルパを作ることができます。
![Mahoutarupa Mahoutarupa](https://raimuspace.com/blog/image-files/photos/uncategorized/2019/02/02/mahoutarupa.jpg)
「魔法タルパ」と呼んでみよう。
先ほど紹介したKindie書籍『タルパ×コンプレックス』に書かれている推奨のタルパ作成方法は、
ほとんどこの「魔法タルパ」の作成方法に該当します。
あと、前に説明した「ヘミシンク」というジャンルでは、
「ガイド」という自分を守護する霊的存在が出てきます。
これも、「魔法タルパ」に該当するので、ヘミシンクとタルパは親和性が高いです。
さらに、もっと突き詰めていくと、「菩薩の世界から出てきたタルパ」とか「なんかよく分からないけど高次元っぽい所から出てきたタルパ」を受け入れることができるなら、そういうタルパを作ることができる・・・ということになります。
それから、サイキックの話となると、
以前に『「波の世界」のものを受信する』の所でした「波長」の話も絡んできます。
意識の在り方次第では、以下のようなタルパが出てくることも想定されます。
ここまで考えると「魔法タルパ」にも色々とあるということになります。
「物質の世界」にある意識から作ったタルパや、低レベルな波長の意識から作ったタルパは、
自分勝手な「欲望」をベースにしやすいので、自分勝手な都合で暴走しやすかったりします。
しかし、もっと深い所にある意識をベースにしてる場合はそうでもないので、暴走しずらいです。
タルパを上手く使えてる人はそういう人だと思います。
創造型タルパと邂逅型タルパ
ちなみに、ネットで普及しているタルパには
「創造型」と「邂逅型」という種類があると言われています。
(他にも種類があるけど、とりあえずここでは置いときます。)
「創造型」は、タルパというものがあることを知って、
ゼロから作り上げることによってできるものです。
イメージから偶像を作っていって、その偶像が自動で動くようになって出来上がるものです。
ネットタルパの多くはこれに該当します。
「邂逅(かいこう)型」は、どこかで出会うことによって出来るものです。
出会いの場所は、夢の中だったり幽体離脱後の世界だったり、自分の内的世界だったりします。
創造型と違って、始めから自動で動くようになっています。
そして、上記の二つは『サイキックの研究と分析』的には、
創造型は「物質の世界」ベースで作られていて、
邂逅型は「波の世界」ベースで作られている・・・と解釈することができます。
タルパは、この二種類のうち必ずどちらか一方にキッチリ該当するわけではなく、
その比率は、9:1であったり7:3であったり、3:7であったり9:1であったりと、
相互に影響されてできていることもあり、多様なケースが想定できます。
私見ですが、邂逅型のタルパを持ってる人は、
魔術や魔法に関心を持ってる人が多いので、
この二つは関係しているのは間違いないと思います。
(ちなみに自分も割とそれです。)
「タルパ」と「サイキック」の関係
次にタルパとサイキックの関係の話です。
まず、「唯物論者な人が作ったタルパ」は、
主体的に「波の世界」とアクセスする能力を持ってないので、
これは基本的にはサイキックとは関係しません。
ただ、「波の世界」といくらかの関わりを持つことは有りうるので、
サイキックのことがよく分からないのに、
サイキック領域に半ば足を踏み入れることは、いくらか危なっかしいかもしれない・・・とは言えます。
そして、「魔術や魔法やサイキック」に関心がある人が作ったタルパはどうなのか?
「サイキックに使う意識」から「タルパ」を具現化しているということがあります。
そんでもって、そのタルパはそのまま「サイキック」を使うことができます。
つまり、タルパはサイキックのための補助存在と成りえるのです。
まぁ、『ジョジョの奇妙な冒険』に出てくる「スタンド」とか、まんまそれっぽい表現です。
![Sutando Sutando](https://raimuspace.com/blog/image-files/photos/uncategorized/2019/02/02/sutando.jpg)
ジョジョの第3部からは「スタンド」と呼ばれる能力が出てくるようになる。
そもそもな話、タルパの元はチベットにある「密教」から出てきていて、
密教はほぼそのまんまサイキックなので、
タルパとサイキックは密接な関係にあることは言うまでもないです。
そうした中で、「能力を具現化して使う」という側面が強いのが、
「タルパ」を使ったサイキックだ、ということになります。
思うに、「タルパ」を使う人は「具現化能力」が高いです。
そして、サイキック能力を表すものを具現化することで、より能力を「確信」することができます。
さらに、サイキックは「確信」することで力を強めることができます。
その代わり、「常にオートでイメージする力」は、脳内に一定の負荷をかけることもあります。
それは制約をともなう能力強化・・・!
某漫画を読んでる人なら聞いたことのある話。
他にも、はっきりした人物像のタルパよりも、
「思念体」の形態のものを使うタイプや、
自立した別意識を扱わないでサイキックを使うタイプもいます。
そうした中で、「具現化」を中心にして使うのが、
「タルパ」を中心に能力を扱う人だ、ということになります。
以上、「タルパ」についてでした。
インターネットから流行ることになった「タルパ」は、
理にかなった所から生まれてきた文化であり、
サイキックの新しい可能性の表れだと思います。