【連載】陰陽哲学

■陰陽哲学基本概要(21) ~文化の違いと現代日本~

投稿日:2024年10月13日 更新日:

不定期連載『陰陽哲学基本概要』シリーズ。 記事一覧はこちら。


前回は「神①」「神②」「神③」「神④」みたいな神様の説明を色々としていき・・・
それらがどう表現されるかは古今東西の「文化の違い」によって全然違ってくることを書いた。

今回はそうした「文化の違いによる表現の違い」について、詳しく説明していこう。
 

文化と神様の関係

「神①」「神②」「神③」「神④」のような神様は、大元には「天」と「地」の原理があり、そこから生じているものだと考えられる。
そして、これらの神様は人間の文化によって表現され、宗教の中で偶像化され・・・
「表現・偶像化されるもの=神様」のようになっていくわけである。

こうした偶像化は人間が神に対してどのようなイメージをするかによってその内容が決まってくるし、それをどのようにイメージをするかはその人間がどんな文化を生きているかで決まってくる。
そのため、「人間が神をイメージした時、その内容はその人間が生きている文化による」という原理が重要である。

色んな文化を見ていくと、それがよく分かるのではないだろうか?

例えば、インドではインドの文化の中で神様がイメージされるし、西洋では西洋の文化の中で天使や神様がイメージされるし、仏教では神様的なものが「仏」や「観音」や「菩薩」としてイメージされるし、昔の日本でもその独自の文化の中で神様がイメージされていた。

文化によってこれほどに捉え方が違うため、もしインド人と西洋人と仏教徒と日本人が混ざっていったりした場合、お互いの神様表現が全然違うことに驚くことにもなる。

こうした文化の違いは海外の文化同士だと発生するわけではなく、日本国内だけでの文化同士でも発生する。
例えば、アニメ趣味・漫画趣味・ゲーム趣味で生きている人と、ロック音楽趣味・パンク音楽趣味・ヒップホップ音楽趣味で生きている人とでは全然違うし、さらに同じようなジャンルの中でもその詳細を追うと内容が全然違っていたりもする。

大体「人間は10代の時に過ごしていた文化の価値観でほとんど一生を生きている」という法則があるため、各々が10代の時にどういう文化で生きていたかをよく思い起こしていくと良い。この辺りは思春期で周りの大人達に反感を持ったあと、一生の指針を決める時期なため発達心理学的にも重要であるし、それが当人の「自我」の中核にもなっている。
とにかく、10代の時にどう過ごしていたかに違いがあったら、それはもう違う文化を生きていることと同義である。

こうした問題は神様を表現しようとしたり、表現された神様に親しんで信仰する場合に起きるだけでなく、氣やスピリチュアルのようなものを扱っていきたい場合も、各々が生きる「文化の違い」が顕著に表れるため、その違いを意識することが重要になってくる。
神様に限らずあらゆるものの本質は「イデア」のようであるため、それがイメージされることによって「表現されているもの」になる。
そうした表現によって出てきた表象の内容もまた「文化によって違うもの」であり、我々は特定の文化において表現されたものを見て、その本質の片鱗を掴むことができる。

このように「文化によって違うもの」が世の中にたくさんあることを踏まえつつ・・・各々がどういう文化を生きているかを意識しておくと良いと思う。

特に21世紀の現代は世界的に「多様性の推進」がされていってるような特徴があるため・・・
そんな時代だからこそ、より一層「他者の文化の尊重」が大事になってくるだろう。
 

現代日本の変遷と神様表現

以上のような「文化と神様の関係の法則」を追っていくと・・・他にも、ネイティブアメリカン、南米、アフリカ、北欧、イスラーム建築・・・など、さまざまな文化の中で神様がどのように表現されてきたか?が多種多様にあるため、それを見ていくのも面白いと思うが・・・

それよりも、現代日本における文化の変遷はどうなっていたか?について見ていこう。

まずは、1960年代から見ていくと・・・
このあたりは欧米から輸入された文化が革新的で恰好良く、ロックや洋楽の文化の影響が大きいかもしれない。
それから、1960年代といったらアメリカでヒッピームーブメントと呼ばれるスピリチュアルなムーブメントが起きていて、20世紀頃からあった現代スピリチュアルの源流が掘り起こされて盛り上がるようなことが起きていたし、その後もアメリカ産のスピリチュアルがどんどん出てくるようになった。
そうしたアメリカのスピリチュアルが輸入されて日本で広がった流れがあり、その辺りの世代もまだ現役であるため、今の出版社が広めているスピリチュアルでもいまだにその影響を受けているものがある。

その一方で、神道・仏教・東洋思想のように古典的なものを支持する人はいたし、クンダリーニ・ヨーガのような手法からスピリチュアルや精神世界を探究することも行われていた。

1980年代からまた新しい状況が起きていく。
1980年に週刊少年ジャンプで鳥山明が『Dr.スランプ アラレちゃん』の連載を開始。
1983年に任天堂が『ファミリーコンピューター』を発売。
そんな感じで、今をときめく漫画・アニメ・ゲーム文化の発端のようなものが出てきた時期であり、それらの黎明期から発展期へと進んでいった。

それから、コンピューターの発展も黎明期からどんどん進んでいくようになった。
マイクロソフトが『Windows 1.0』を出したのが1985年であり、その後のWindowsは進化し続ける。
コンピューターの発展に伴い、必然的にCGもどんどん発展していき・・・
ハリウッド映画の世界では1999年に『マトリックス』が作られるレベルにまで達した。

1980年代はこのようにコンピューターが発展していった一面があったことに加えて…
1960年代にあったヒッピームーブメントのようなスピリチュアルなカルチャーの影響が続いていた面もあった。
日本では「精神世界」というジャンルの中で流行っていたものが秘かにあったし、1999年に起きるとされた「ノストラダムスの大予言」が流行していて、どこか退廃的な雰囲気や終末的な世界が好まれる時代でもあった。
映画『マトリックス』もそんな状況の中で作られ、大ヒットした作品である。

2000年代はより一層コンピューターが普及・発展していくようになる。
日本でブロードバンド通信が一般家庭に広まってインターネットが使い放題になった。
ゲーム業界では2000年に『PlayStation 2』が発売され、これまであったレトロなポリゴンとは全然違う綺麗な3Dグラフィックでゲームが動くようになった。
Windowsは『Windows 95』みたいなクオリティだったものから、『Windows XP』へと進化していき、どんどん綺麗になって向上していった。

それからどんどんコンピューターの性能は向上し、2000年代後半までいくとアニメやゲームの分野が十分に発展しているような状態になった。
2006年に『PlayStation 3』が発売されて、今とほぼ変わらないレベルのグラフィックが出せるようになった。
『Youtube』や『ニコニコ動画』のような主要な動画メディアが発展するのもこの辺りからである。
2008年に『iPhone』が日本で発売されてから、スマートフォンがどんどん発展・普及していくようになった。

2010年代はさらにスマホが主流みたいな時代?になり・・・
Youtubeで広告収入を得る仕組みが一般化したり、ディープラーニングによる新型AIが出てきたりした。
2000年代のテクノロジーの変化と比べると、2010年代のテクノロジーの変化は緩やかなもので、成熟期の中で発展していったようなものだったが・・・
そうした中でもSNSやスマートフォンが普及・定着していくことで、色んな文化があったと言えるだろう。
ゲーム開発の分野では個人でゲームを開発できる環境が進化していったように、個人でコンテンツを作って、それを配信したり販売したりする仕組みが全体的に発展していた。
日本にとって隣国である韓国や中国の発展が著しかったのも特徴的であり、それらで作られたコンテンツが日本に入ってくるようにもなった。

そんな状況の中で2020年代に突入し・・・

一体、日本はこれからどこへ向かっていくのだろうか?
今現在、「日本の文化」と呼べるものは果たしてどうなっているだろうか?

最近の日本は「神様表現」に関しては迷化しているような気もするが・・・

これまで表現されてきた作品達が古典のように存在しているので、その復興が行われるように蘇ったりするのだろうか?
漫画・アニメカルチャーの中からまた新しい神様表現が出てくるのだろうか?
発展したコンピューターを使ってさらに新しい表現を思いつく人が出てくるのだろうか?
逆に、飽和状態となったデジタルカルチャーに対して、自然を愛したり、古典的な作品を愛したりする方向に行くのだろうか?
膨大な情報があるインターネットの中で、自身に適した文化の情報を得ることに成功し、成長していくのだろうか?
さらにそうした中でAIが入り込んできたりするのだろうか?

そんな感じで、「神様を表現するための文化」の観点からも日本の文化の変遷を追っていきたい。
 

基本となる神様は何か?

これまで説明してきた通り、人間社会は神様の偶像化によって、その本質の理解からどんどん遠ざかっていくようになってしまう性質がある。
日本では特にそうしたことによる宗教の迷化が起きることで、唯物論的な価値観の方へ向かうようになっている。
さらに、現代では「科学」を用いて合理的に生活基盤を作っていくことが実際に有効的で便利であるが故に、一層それが信じられて唯物論に向かっていく風潮がある。

そんな時代の中で、もっと真っ当に神様を信じたり、その本質を理解することはできないのだろうか?
現代人の信仰はどうあるべきかについて改めて考えていきたい。

まず、基本的に神様は人間が作ったものであり、神という概念も人間が作ったものである。
それはその通りであり、「神」という概念について人間が考えようとする時点で、それは人間の思考の中で作られている。
しかし、その神の元となる真理は必ずあるはずである。
古代ギリシャの哲学者たちもそう考えて試行錯誤をしていき、様々な哲学が古代遺産のように残っているし、古今東西の賢い人達はその問題に挑んでいったが・・・
しかしながら、我々人間がそれを追っても、結局、人間が思考しておこなってることであり、人間が考えてたどり着いた真理も、結局は人間の思考の中で出てきたものだということを否定できない。
どうしたものだろうか・・・

もっとシンプルに考えてみよう。
大昔の人間が、大空に太陽があるような天と、植物が生い茂る自然のある地を見て何を思ったのだろうか?

  

目の前にある壮大な地球の景色を見ると、「天の神」「地の神」が存在すると捉えるのが自然だし・・・
それらはもしかして本当に存在するものとしても良いのではないだろうか?

 

我々人間は、そんな原始的な信仰を忘れてはいけないのではないだろうか?

次いで、それに加えて「人間が作った神様」がある。
これはいわば、分かりやすく言うと「人工神」ということになるだろう。

それから、明らかに本質とずれた人間都合のための神様もある。
本来の「天の神」から派生したものを、何か名前をつけて「〇〇〇〇」と呼び、政治の安定のために信仰した方が正しいものとしてイメージを確立させ、神様のように祭り上げることがある。
それは政治のために作られた天皇のイメージだったり、政治のために作られた巨大な大仏だったり・・・その例をあげると枚挙にいとまがない。
また、逆にそうした政治を打倒したい場合も、それに反旗をひるがえす存在に名前をつけて「××××」と呼び、悪魔か堕天使のような存在であるそれを祭り上げていった方が民衆が結集しやすい。
人間の世界にはそんな「偽神」もある。

そして、それらに該当しないどこかに、正体不明のUO(未確認物体)のような神様も存在するわけである。

ここで言う右下の「顕陰」にあるUO(未確認物体)と、本質的な「天の神」と「地の神」を探っていくことこそが・・・
現代人にとって実は必要なことになってくるのではないだろうか?

今まさに『陰陽哲学基本概要』シリーズでやっていることもそうしたものを探る試みの一貫であるため、そんな感じで新しいものを見出していきたい。
 

↓続き

■陰陽哲学基本概要(22) ~(最終回)今後の展望~


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