【連載】陰陽哲学

■陰陽哲学基本概要(15) ~物質性と精神性~

投稿日:2024年8月17日 更新日:

不定期連載『陰陽哲学基本概要』シリーズ。 記事一覧はこちら。


前回までは、孔子と老子についてを絡めつつ陰陽を説明してひと段落した。

今回のテーマは「物質性と精神性」である。
「物質的であること」と「精神的であること」の二元について追っていきつつ…
「陽と陰はどっちが精神的/物質的なのか?」について考えていく。

ざっくり言うと、「物質性」とは明確で具体的なものであり、人間の肉体もそんな感じである。
一方で、「精神性」とはフワっとしてて抽象的なものであり、「魂」のような概念もそんな感じである。
 

ここで、本題に入る前に一つ問いかけをすると、男と女どっちが物質的で、どっちが精神的だろうか?

割と一般的な解答だと、筋骨隆々で論理的で科学とかが好きそうな男の方が物質的で、美意識が高くて文化的なものが好きそうで感覚的な女の方が精神的だと捉える人が多いかもしれない。
しかし、別の側面から見たら、男の方が理想を目指す世界に生きてて、精神的なものを極めればどこまでも行ってしまうから精神的だとも言えるし、女の方が現実的で、地球を生きるのに適してるような物質的な考え方をしてることもある。

今回の「陽と陰はどっちが精神的/物質的なのか?」の話も…
実はそれと似たような話になってくる。
 

陽と陰はどっちが精神的か?

はたして陽と陰はどっちが精神的で、どっちが物質的なのだろうか?

今回の「陰陽哲学」の考え方だと、それは「言語前」「言語後」の世界で違ってくる。

「言語前の世界」においては「天」の方が精神的である。
古典的な陰陽論においては純粋な生命エネルギーみたいなものがまず先にあり、それが「天」の本質とされ、「無限であり変化である」といった説明もされる。
「天」は「造化」の働きを持つとされていて、それはまるで創造の設計図みたいなものを持っているようなものだが、まだ顕現されていないので精神的なものである。
そのため、そうした力を持つ「元陽」は精神的なものである。

次いで、「地」の方が物質的である。
「天」の生命エネルギーを受け取るのが「地」の役割であり、それはまるで流動体を入れる「器」のような働きをする。
「天⇒地」の順で造化と創造の作用が働くことで、「地」の力で具体的な物質が形成されるようになっていく。
「地」は「有限であり固定である」といった説明もある。

また、地の世界が進んで自然が発達して、さらにそこに動物が出てきたりすると・・・「生と死」の概念が出てくるようになり・・・「生と死がある中で生きなければならない」みたいな話になる。
そうした生と死の二元性から「死への恐れ」が出てきて、生き物を物質的な地に根付かせていく。

そのため、そうした力を持つ「元陰」は物質的なものである。


 

言語後の世界

それから、「言語後の世界」だとどうなるのだろうか?

「言語後の世界」になると、「天」の力は純粋な生命エネルギーというよりかは、「言語」の力が強く作用するものとして働くようになる。

これまで説明してきた通り、言語の力が「法」のようなルールを作り、人間はより知性的になり、「国家」を形成するようになり、「陽」の力はどんどんと文明を発達させていく方向に機能し、地上は物質で豊かに溢れる世界になっていった。
そんな「顕陽」は物質的なものである。

その逆である「陰」の力は、統一・含蓄のはたらきを持つとされていて、物質を無限に増やすエントロピー的な力を持っているというよりかは、余分なものを取り除いてまとめていくネゲントロピー的な力を持っている。
また、それは人間の文明に対する自然の力でもあり、人間が作る秩序とは違った性質を持っている。
そんな「顕陰」は精神的なものである。
 

以上。
陽と陰、物質と精神の関係が大体分かっただろうか?
 

逆転の法則

ここまでの説明で肝となるのは・・・
「精神性/物質性」の関係が「言語前/言語後」で逆になっていることである。

以上の原理は大事な基本であるため・・・
これを踏まえつつ、陰陽についてをさらに深掘りしていこう。
 

↓続き

■陰陽哲学基本概要(16) ~人間が依存しやすいもの~


-【連載】陰陽哲学

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

■陰陽哲学基本概要(7) ~外向タイプと内向タイプ~

不定期連載『陰陽哲学基本概要』シリーズ。 記事一覧はこちら。 前回は「パラノとスキゾ」についてと、顕陽と顕陰の関係について書いていった。 今回は、「外向タイプと内向タイプ」について書いていこう。   …

■陰陽哲学基本概要(3) ~易経における陽と陰のおさらい~

不定期連載『陰陽哲学基本概要』シリーズ。 記事一覧はこちら。 前回は「天」と「地」の概念について基本的なことを説明した。 引き続き、易経における「天」と「地」、 それに則した「陽」と「陰」の意味ついて …

■陰陽哲学基本概要(5) ~「天」と陰陽の意味を再考する~

不定期連載『陰陽哲学基本概要』シリーズ。 記事一覧はこちら。 前回、「言語化の法則」と二種の陽と二種の陰について説明した。 「言語化の法則」を踏まえて「天と地」の意味を深めると、二種の陽と二種の陰の意 …

■陰陽哲学基本概要(16) ~人間が依存しやすいもの~

不定期連載『陰陽哲学基本概要』シリーズ。 記事一覧はこちら。 前回、以下の仕組みについて説明した。 今回はそれを踏まえて、「我々人間が依存しやすいもの」の話をしていこう。   分かりやすい物質性 まず …

■陰陽哲学基本概要(14) ~陰陽の先にあるものとヌーソロジー~

不定期連載『陰陽哲学基本概要』シリーズ。 記事一覧はこちら。 これまで、以下の図にある顕陽と顕陰の話をしていった。 これはこれで大体完結しているのだが・・・実は、この仕組みにはまだその先の話があるので …

プロフィール

Author:Raimu

魔術・オカルト全般好きな理系。
サイキックの研究とか、占星術とか、
神秘と科学の考察的な、自分の好きなものを置いていきます。

詳しくはこちら

2021年頃に書き始めたヌーソロジー学習用テキストの新作。
哲学、シャーマニズム、数学、神学、古代文明、意識進化、オカルト・・・など色んなジャンルが絡んでくる内容のもので、これを読めば『ヌーソロジー』ってどんなものなのかがざっくりと分かるようになるはず。

「陽」や「陰」、「天」や「地」といった概念を基本とする中国の古代思想『陰陽論』や『易経』についてちゃんと説明するテキスト。さらに西洋哲学や精神分析学、ヌーソロジーの概念とも絡めてその哲学を深めていく。

ユング心理学が専門でありながら古今東西の文化や宗教全般にも詳しく、スクールカウンセラーとして数多くの実績を持つ偉人、河合隼雄さんの書籍を読み直してその思想を学ぶシリーズ。

超能力や魔術の研究や、物理学・量子力学を絡めた解明を目的に、少しずつ書いていった連載記事。

正式名称は『はじめての人でもホロスコープを自分で読めるようになるための記事』。西洋占星術で出した結果をある程度の所まで読めるようになることを目的とした記事。

『note』のテキストコンテンツとして執筆。社会不適合者が生き残るための考え方や知恵をテーマにしたテキスト。1~5でとりあえず一区切り。
第1回目はこちら。

半田広宣さん提唱の宇宙論・具体的イデア論と言われている『ヌーソロジー』。その基本から実践的な入門までを、自分なりに一通り説明したページ。

その他に作ったものはこちら。

『Raimuのプログラミングノート』というプログラミング関連のブログを開設しました。
初心者向けの「プログラミング入門」がメインコンテンツになりますので、よろしくお願いします。

noteで西洋占星術による鑑定を有料で受け付けています。生年月日と出生日時から占う命術鑑定です。
通常コースは4000円、簡易コースは2000円にて受け付けています。

Kindle本など。Amazonで買えます。
「佐道来夢」という名前で出してます。

書籍版Kindle版があり。
「4次元」とは何か?というのが主なテーマ。割と理系的な視点から「異世界」について探求していった本と言っても良いかもしれない。
『ヌーソロジー』の理解に必要な「4次元認識」の実践部分もあり。
詳細はこちら

書籍版Kindle版があり。
宇宙論『ヌーソロジー』の入門用。半田広宣さん監修の元、ヌーソロジーの主要な知識を押さえれるコンパクトなハンドブック。
「変換人生活のためのヒント」というテーマの書き下ろしテキストもあり。
詳細はこちら

書籍版Kindle版があり。
「リアルな魔法使い」とは何か?をテーマに、「目に見えないもの」との付き合い方や、その仕組みなどについて幅広く書いていった。オカルト的なことを実践していたり、関心のある人に読んでもらいたい本。
詳細はこちら

Kindle版があり。
ユング、フロイト、ラカンなどの「精神分析」のジャンルを、ヌーソロジーの概念を使って説明することを試みた「ヌーソロジー×精神分析」の本。精神分析の概念がゼロからでを分かるようにしつつ、ヌーソロジーの世界観の理解も深めることができる。
詳細はこちら

メイン⇒@raimu_23tm

占い関連⇒@raimu_23tm_thot

ぬーそろじーたん⇒@noosology_tan

アストロロジーたん⇒@astrology_tan