【連載】サイキック研究

■サイキックの研究と分析(14) ~「量子力学」と「量子哲学」~

投稿日:2018年10月27日 更新日:

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◆◇「量子力学」と「量子哲学」◆◇

前回の「量子論リテラシー」の話の続きになりますが、
一言に「量子論」とか「量子力学」と言った場合、
ちゃんとした科学としての「量子力学」の側面と、「量子哲学」の側面があると思っておいた方が良いです。
「量子哲学」とは「量子力学の哲学」を略した造語になります。

そもそも、「量子力学」というのは、量子に働いている力学の仕組みを研究するわけだから、
あくまで物理学として科学的に扱うものになります。
量子力学の応用の結果生まれた発明品というのは色々とあり、半導体設計や新素材開発が進んでいくことで、パソコン、携帯電話、フラッシュメモリ、レーザーなどが作られるようになります。
そういうものの発明の元になった実用的な側面が、量子力学にはあります。
実用的な数学や科学は「工学」と呼ばれるものであり、
科学者が扱う量子力学は、それに近いことが望ましいです。

一方で、「量子哲学」は「量子力学を解釈することによって生まれた哲学」であり、
科学というより「解釈論」に該当します。
ボーアのコペンハーゲン解釈も、どっちかというと物理現象を追いかけてるというよりかは、こっちです。
これは量子論における「解釈問題」とも言われています。
こういうのは、力学を追いかけてるというより、哲学を追いかけています。

「東洋思想×量子論」の先駆的な著作である『タオ自然学』とかは、
思いっきり哲学方面を追求してるので、まさしく「量子哲学」になります。

「量子力学」と「量子哲学」の違いの問題は
「科学」の定義の話にもなります。
「科学」とは何か? どういうものを「科学」と呼ぶかについては諸説がありますが、
「科学的方法論」をもって研究されるものが「科学」です。
大体、「科学」と呼べるものには以下が当てはまります。

・原理や仕組みが分かっていること
・原理や仕組みが分かってる上で、実験によって再現できること(再現性)
・測定結果を出すことで、客観的に誰が見ても正しいということを示せること

そうした「科学」にあてはまるものが量子力学で、あてはまらないものが量子哲学、という分け方でも良いと思います。

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サイキックの問題を物理学と絡めていくと、意識を絡めた量子論の話になります。
意識が絡むと主観的な話が絡んでくるし、
客観的に再現性が取れるかってのが微妙になってくるので、科学にはならないです。

一方で、半導体とかレーザーに使われる技術は
「こうしたらこうなる」という原理が分かっている中で、皆が利用しているものなので、
そういうのものは「科学」と言い切れるわけです。 
 

量子哲学、解釈問題の特徴

「量子哲学」は「量子論の解釈問題」を扱うものになります。
量子論から派生して出てきたものに、
「エヴァレットの多世界解釈」とかいうのがありますが、それも「解釈問題」の話です。

解釈問題については、以下の本でこう書かれています。

 量子論によって明らかになったミクロ世界の不思議な現象を、どのように解釈すればよいのかを考えるものを解釈問題と呼びます。コペンハーゲン解釈や多世界解釈は、解釈問題に対する答えの一つです。
しかし、解釈問題には正解がないともいえます。さまざまな解答は所詮、解釈上の相違にすぎないのです。
<中略>
そのため、大学で学生に量子論を講義する際には「若いうちに解釈問題に立ち入ってはならない」と教える先生が多いようです。確かに正解の出しようがないものにいくら頭を悩ませても、貴重な時間を浪費するばかりでしょう。実際に私たちが量子論を用いて電子のふるまいなどを計算する際には、どの解釈が正しかろうと何の影響もないのです。

先の本を書いた「佐藤勝彦」という人は相対性理論の教科書とかも書いてる人ですが、
解釈問題や量子哲学な話は面白いんだけど、ちゃんとした科学の研究者にとっては、深入りすると科学と離れて行くような側面も持つ・・・とのことです。
物理学を長くやっている人のこうした話も、一応は踏まえておきたいです。

一見して「量子論っぽい」感じの一般人向けの話は、
ここで言う量子力学なのか、量子哲学なのか、ごっちゃにしたまま言われていることが多いです。
・・・というか、真面目な量子力学となると、地味で難しい話にしかならないので、
一般向けとなるとほとんどが量子哲学に該当するかもしれません。
つまり、だいたいは科学ではないということです。
『サイキックの研究と分析』シリーズの「~量子力学と超能力~」の記事で量子論っぽい記事の例を5つほど挙げました。(     
・・・が、自分は基本的にこういうのはあくまで量子力学ではない(=つまり科学ではない)ものと認識した上で読んでいます。
 

とはいえ、『サイキックの研究と分析』では、
主に「量子哲学」として、素粒子の話を掘り下げていくことにします。
先も言った通り、サイキックの話は意識が絡むので、
科学にするのは難しいです。むしろ「魔術」と呼んだ方が良いかもしれません。
それを科学と呼ぶには、確実な「再現性」が必要になります。
ただ、逆に言えば再現性を確認することができれば科学に近づくという展望もあるかもしれません。

そこはそういうものとして、割り切って扱っていく方針です。
 
 


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