オススメ本

宮台真司著「14歳からの社会学」がとても良い本だった

投稿日:2021年1月4日 更新日:

最近、自分の所属してる界隈(まぁだいたいヌーソロジー界隈)で、
社会学者の宮台真司さんの名前をよく聞くので興味を持ちました。

とはいったものの、宮台さんの言説はどうも「クソ」とか「クズ」とか、
汚い言葉を使った批判的なものが多かったり、
若い人に対する見識もイマイチ明るくないかのようなものが多く見受けられます。

政治的な話題で「クソ」とか「クズ」とかいう言葉を使って色々と言われても、
個人的には関心を持つことができません。
(例えば、ネトウヨをウヨ豚とか思考停止のクズとか批判する言説を聞いても、自分のリアルではネトウヨは見たことないので個人的には興味がない。)

宮台さんの『社会という荒野を生きる』という書籍を買ってみたものの、
政治への批判の話が多くてイマイチ面白くありませんでした。

そんな中で『14歳からの社会学』という本を代表書籍として紹介されたので読んでみたら、
「こんな良い本があったのか!」と、
宮台さんの印象がかなり変わるぐらい良いものだったので、
ここでオススメしておきます。
 
 

だいたいの内容

大体の内容として、目次をAmazonから引用すると以下です。

1. 【自分】と【他人】 …「みんな仲よし」じゃ生きられない
2. 【社会】と【ルール】 …「決まりごと」ってなんであるんだ?
3. 【こころ】と【からだ】 …「恋愛」と「性」について考えよう
4. 【理想】と【現実】 …君が将来就く「仕事」と「生活」について
5. 【本物】と【ニセ物】 …「本物」と「ニセ物」を見わける力をつける
6. 【生】と【死】 …「死」ってどういうこと?「生きる」って?
7. 【自由】への挑戦 …本当の「自由」は手に入るか?
8. BOOK&MOVIEガイド …SF作品を「社会学」する

最初の方は導入として、昔は「みんな」っていうと大体の人がイメージできたけど、
今はそういうのが無いから、「みんな」ってどういうことなんだろう?
という問題提起から始まったりして、
そこから、社会とは何か? ルールとは何か?という話とか、
あと、恋愛百戦錬磨の宮台さんの得意分野である恋愛や性についてとか、
そんな話がどんどん続いていきます。

その中で、宮台さんが過ごした学生時代とか、
それに基ずく価値観の話とかもされています。
宮台さんの中高時代は6年一貫教育の私立男子校にいたけれど、
中学高校紛争という生徒と先生の激しい対立がめちゃくちゃあって、
それで生徒側が勝利することによって、
校則やルールみたいなものがない学生生活を手にしたものの、
それはそれでめちゃくちゃになった学校になって、
それについて考えざるをえないような環境にいたようでした。

なので、宮台さんは基本的に「ルールや法律の外の世界」っていうものに親しみがあるんですが、
逆にルールや法律の重要性も理解しているような、
そんな印象がありました。

あと、基本的にはリアルな性愛を求めていくのが宮台さんのスタンスなんですが、
2000年代に入ってコンピューターが作り出すバーチャルな恋愛ゲームが出てきているのも知っていて、
それはそれで「そういうのもアリなものだ」「間違ってるとは言い切れない」と、
ちゃんと社会事象の一つとして、良し悪しを決めつけず見ているようでした。

恋愛沙汰については学生からの相談も受けるみたいで、
若い人の恋愛事情についてもよく知っているみたいです。
 

一概に法外が良いとも言えなそう

宮台さんの言説の代表的なものに「法外のシンクロ」というものがあります。
それは法律やシステムや決まり事の外に行くことを好むようなもので、
法内での安定を求めるより、法外で出来る「つながり」にこそ確かなキズナがあり、
そこに価値があるという考え方です。

◆「法外」を恐れるな 社会学者・宮台真司教授インタビュー | 東大新聞オンライン

とはいえ、「法外」というワードばっかり聞くと、無法モノと汚い言葉を好む、
いかついオッサンという風に捉えられかねませんが・・・
やはり、宮台さん自身はどちらかというと
「法内と法外、どっちも利用している」ような立場でもあるので、
先の本を読むと実際はどちらかが良いとは考えない思慮深さがある人だと思いました。

本の最後にある「あとがき」では、
「これからの時代は予測がつかない」「こうなるはずだという思い込みで生きるのは危険だ」ということが書いてあるのも好印象でした。

そもそもこの本は、宮台さん自身の娘が、もし14歳になった場合どんなことを語りたいか?
を念頭に置いて書いていった本のようです。
だから、内容も言葉使いもとても丁寧で、メッセージが届きやすいように書かれていました。

この本ならば、自分も「若い人に読んで欲しいなぁ」と素直にオススメできると思います。

やっぱり個人的には、
この人は「クソ」とか「クズ」とかむやみに使ってない話の方が好きかなぁ・・・


-オススメ本

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

推しの本を5冊ほど、Amazonで書籍レビューを書きました

ヌーソロジー本の新作、 『奥行きの子供たち』のアマゾンレビューを書いてみました。 そんでもって、ついでに他の本もレビューを書いてみました! 以下で紹介した本は、 オススメの本たちなので、 興味を持って …

神話的名作漫画「イティハーサ」を紹介する

神話的名作漫画『イティハーサ』がwebサービス「スキマ」で無料公開中のようです! ◆[全話無料(全89話)] イティハーサ | スキマ | 全巻無料漫画が32,000冊以上読み放題! 『イティハーサ』 …

『発達障害の僕が「食える人」に変わった すごい仕事術』という本を読んだ感想

最近、以下の本が出たらしいので読んでました。 ハンドルネーム『借金玉』という人が書いた本で、 この人は、今現在は不動産屋の営業マンとして働いている32歳の発達障害(主にADHD)らしい。 「発達障害就 …

『「山奥ニート」やってます。』という本を読んだ感想

今回は本の紹介と感想を書いていきます。 紹介するのは『「山奥ニート」やってます。』というタイトルの本。 著者は石井あらたという人ですが、 通称は「山奥ニート」(@banashi)と呼ばれていて、そっち …

「非物質ガイドとの探索」という本がかなり良かった

「非物質ガイドとの探索」という本を最近、 Kindleで読み進めています。 全部で3巻ある3部作構成ですが、これはかなり良いですね! ここで言う『非物質ガイド』というのは、 いわゆる俗に言う「守護霊」 …

プロフィール

Author:Raimu

魔術・オカルト全般好きな理系。
サイキックの研究とか、占星術とか、
神秘と科学の考察的な、自分の好きなものを置いていきます。

詳しくはこちら

2021年頃に書き始めたヌーソロジー学習用テキストの新作。
哲学、シャーマニズム、数学、神学、古代文明、意識進化、オカルト・・・など色んなジャンルが絡んでくる内容のもので、これを読めば『ヌーソロジー』ってどんなものなのかがざっくりと分かるようになるはず。

「陽」や「陰」、「天」や「地」といった概念を基本とする中国の古代思想『陰陽論』や『易経』についてちゃんと説明するテキスト。さらに西洋哲学や精神分析学、ヌーソロジーの概念とも絡めてその哲学を深めていく。

ユング心理学が専門でありながら古今東西の文化や宗教全般にも詳しく、スクールカウンセラーとして数多くの実績を持つ偉人、河合隼雄さんの書籍を読み直してその思想を学ぶシリーズ。

超能力や魔術の研究や、物理学・量子力学を絡めた解明を目的に、少しずつ書いていった連載記事。

正式名称は『はじめての人でもホロスコープを自分で読めるようになるための記事』。西洋占星術で出した結果をある程度の所まで読めるようになることを目的とした記事。

『note』のテキストコンテンツとして執筆。社会不適合者が生き残るための考え方や知恵をテーマにしたテキスト。1~5でとりあえず一区切り。
第1回目はこちら。

半田広宣さん提唱の宇宙論・具体的イデア論と言われている『ヌーソロジー』。その基本から実践的な入門までを、自分なりに一通り説明したページ。

その他に作ったものはこちら。

『Raimuのプログラミングノート』というプログラミング関連のブログを開設しました。
初心者向けの「プログラミング入門」がメインコンテンツになりますので、よろしくお願いします。

noteで西洋占星術による鑑定を有料で受け付けています。生年月日と出生日時から占う命術鑑定です。
通常コースは4000円、簡易コースは2000円にて受け付けています。

Kindle本など。Amazonで買えます。
「佐道来夢」という名前で出してます。

書籍版Kindle版があり。
「4次元」とは何か?というのが主なテーマ。割と理系的な視点から「異世界」について探求していった本と言っても良いかもしれない。
『ヌーソロジー』の理解に必要な「4次元認識」の実践部分もあり。
詳細はこちら

書籍版Kindle版があり。
宇宙論『ヌーソロジー』の入門用。半田広宣さん監修の元、ヌーソロジーの主要な知識を押さえれるコンパクトなハンドブック。
「変換人生活のためのヒント」というテーマの書き下ろしテキストもあり。
詳細はこちら

書籍版Kindle版があり。
「リアルな魔法使い」とは何か?をテーマに、「目に見えないもの」との付き合い方や、その仕組みなどについて幅広く書いていった。オカルト的なことを実践していたり、関心のある人に読んでもらいたい本。
詳細はこちら

Kindle版があり。
ユング、フロイト、ラカンなどの「精神分析」のジャンルを、ヌーソロジーの概念を使って説明することを試みた「ヌーソロジー×精神分析」の本。精神分析の概念がゼロからでを分かるようにしつつ、ヌーソロジーの世界観の理解も深めることができる。
詳細はこちら

メイン⇒@raimu_23tm

占い関連⇒@raimu_23tm_thot

ヌーソロジーたん⇒@noosology_tan

アストロロジーたん⇒@astrology_tan